お子さんに人気の習い事の一つとして剣道が挙げられます。じつは、生涯剣道といわれるように、剣道はお子さんだけでなく大人にも人気です。意外と大人の女性で剣道を始める人も多く、最近では海外でも人気があります。
大人の女性が剣道を始めるには、大きな壁があるように思えるかもしれません。しかし、始めてみると大きな壁などなく、代わりに多くのメリットがあることに気がつくでしょう。本記事では厳選した10のメリットと3つのデメリットを紹介しました。
剣道を始めたいけれどもなかなか一歩が踏み出せないというあなたは、ぜひ記事を最後まで御覧ください。
この記事を書いた人
・剣道歴39年
・剣道 錬士七段
一般企業の会社員をしながら、地元中学校の剣道部外部指導員・少年団の指導者として日々活動中。自身の稽古にも継続して取り組んでいる。
剣道の疑問を小中学生や初心者の人にもわかりやすく伝えようとメルマガ、note、ブログにて発信。
2021年に著書「28回も不合格でしたが、なにか?」を執筆し、Amazonにて発売中。
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剣道を大人の女性が取り組むメリット
大人の女性が剣道に取り組んだ際に得られる主なメリットとして多くのことが考えられます。今回は、その中でも特に大きなメリットは下記の10個です。
- 仕事以外の友達ができる
- 行動の幅が広がり視野も広がる
- 姿勢が良くなる
- 全身運動でシェイプアップ効果
- 運動と発声でストレス発散できる
- 自分に自信がつく
- お子さんと共通の話題ができる
- 有段者になって履歴書に書ける
- 外国人に日本の文化を紹介できる
- 礼儀作法が身につく
上記10個のメリットについて、もう少し具体的に見ていきましょう。
仕事以外の友達ができる
社会人になると、職場以外の友達はなかなかできません。自宅と職場の往復となり、自由な時間も限られます。女性の場合は出産して子供の成長とともにママ友ができることもありますが、長い付き合いには至らないことも多いでしょう。
しかし、剣道をするとさまざまな職業、さまざまな年代の人と知り合えます。そこには利害関係もなく、段位の上下関係はあっても対等な付き合いが可能です。
また、剣道をしていることをX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSで発信することで、剣友の輪も拡がります。じつは、SNS上には同じ様に大人になってから剣道を始めた女性も多く、似たような経歴の人と知り合うことも簡単です。
実際にSNSでつながっている人達の稽古会は頻繁に開催されており、腕前や段位には関係なく誰でも気軽に参加できます。
行動の幅が広がり視野も広がる
SNSの稽古会でも行動の幅が広がりますが、SNS以外でも剣道を通じて行動の幅が広がります。剣道をするのはいつも通っている道場での稽古だけではありません。
大人から剣道を始めた方でも試合に出場したり、昇段審査を受けたりすることが可能です。女性だけが出場可能な大会や講習会なども開催されています。また、剣道では子供の大会が頻繁に開催されるため、引率に借り出されることもあるでしょう。
大会や昇段審査では所属団体の地域だけでなく、ときには遠方に出向くこともあります。特に六段以上の昇段審査は全国審査となるため、今までに足を踏み入れたことのない地域に行かなければならないかもしれません。
剣道を通じて行動の幅が広がり、その分視野も広がります。
姿勢が良くなる
剣道をすると姿勢が良くなるといわれるように、剣道では構えや打突時の姿勢が重要です。
イメージとしては、礼の姿勢の美しさを思い浮かべる人も多いでしょう。もちろん、礼や正座は正しい姿勢で行なわれます。さらに、立ち姿の美しさが求められることは言うまでもありません。
立ち姿の美しさを気にされる女性も多いようですが、剣道の稽古を通じて美しい姿勢や所作が身につきます。
じつは、美しい姿勢が求められるのは礼法や所作だけではありません。あまり知られていませんが、剣道の試合審判規則には、有効打突の条件として「正しい姿勢」と明記されています。
したがって、試合や昇段審査を目標に、日頃の稽古において綺麗な姿勢で打突できるように個々が取り組まなければなりません。結果として、剣道に取り組むことで自然に姿勢が良くなります。
全身運動でシェイプアップ効果
大人の女性が剣道を始める際に気になるのがダイエット効果やシェイプアップ効果です。じつは、日頃から正しい姿勢を意識することで、インナーマッスルが鍛えられ、シェイプアップ効果が得られます。
しかも、剣道は全身運動のため運動量は多く、筋力アップも可能です。筋力アップによって基礎代謝もアップし、ダイエットやシェイプアップにつながります。ただし、有酸素運動の効果は少ないため、即効性は期待できません。
また、剣道は無酸素運動の要素が大きく、ときには体力的に厳しい稽古にも取り組むことで心肺機能も鍛えられるメリットもあります。
運動と発声でストレス発散できる
現代はストレス社会といわれています。特に女性は会社や家庭でストレスを感じることが多いかもしれません。おすすめのストレス発散方法は運動と大きな声を出すことです。また、腹式呼吸も副交感神経が優位になりストレスを緩和します。
じつは、上記3つの方法が全て含まれている武道が剣道です。剣道では気剣体の一致が求められます。呼吸と声で気迫を表現し、全身を動かすことでストレスの発散が可能です。
また、剣道の稽古中は集中しなければならないため、日常生活で起こったトラブルも忘れられます。
大人になるとストレスを感じることも増えるので、ストレス発散方法として剣道はおすすめです。
自分に自信がつく
大人から剣道を始めた女性の中には、自分に自信がついたと語る人もいらっしゃいます。剣道は同時に行なわなければならない動作が多く、誰もが最初は上手くできません。しかし、稽古をすれば少しずつできることが増えます。
さらに、稽古を続ければ試合への出場や昇段審査への挑戦も可能です。試合や審査の結果が良くなかったとしても、確実に上達していることを実感できます。しかも、剣道を通じて得た自信や経験は必ず社会でも役に立ちます。
お子さんと共通の話題ができる
大人から剣道を始める女性の中には、お子さんと一緒に剣道を始める人もいらっしゃいます。お子さんと共通の話題ができることは、剣道を始める大きなメリットです。
剣道の指導をしていると、お子さんの稽古内容にお母さんがアドバイスをする場面が多々見受けられます。しかし、お母さんが剣道をしていない場合には、お子さんが反発するケースがあり、悪循環です。
一方、お母さん自身が剣道に取り組み、お子さんと一緒に歩むことで円滑なコミュニケーションにつながります。特に反抗期を迎えたお子さんは手がつけられません。そんなときには、一緒に剣道の稽古をするだけで共通の話題ができ、家庭環境も良くなります。
有段者になって履歴書に書ける
大人から剣道を始めた場合、真面目に稽古を続けていれば女性でも初段や二段はすぐに取得できます。初段は半年から1年後、二段は初段に合格してから1年後の取得が一つの目安です。
また、さらに続けていれば、三段、四段と上達し、努力次第では七段まで合格できるでしょう。2024年現在、残念ながら女性の八段合格者はいません。したがって、八段合格はかなり厳しいと思われますが、七段までは合格の可能性があります。
有段者になると、履歴書の特技欄に剣道の段位を書けますし、就職で有利になったと話す人もいらっしゃいます。剣道の段位が直接仕事とつながることは少ないのですが、剣道を続けていることが話題性や信頼性につながることは間違いありません。
外国人に日本の文化を紹介できる
近年は外国でも剣道を始めとする日本の武道が人気です。しかも、海外の剣道愛好家には、日本人の剣道愛好家が一目置かれています。したがって、大人から剣道を始めた女性も、剣道の本場である日本で取り組んでいることは大きなアドバンテージです。
また、剣道に取り組むことは、海外の剣道愛好家以外の人に日本の文化を紹介する際にも有利に働きます。日本の文化は日本人が考えている以上の人気ぶりです。機会があれば剣道にも取り組んでみたいと考える外国人も少なくありません。
ぜひ、外国人と話をする機会があれば、剣道を紹介してみてください。きっと興味を抱いてくれるでしょう。
礼儀作法が身につく
近年は礼儀作法がないがしろにされている印象を持っている人も少なくありません。そんな時代だからこそ、剣道への取り組みが評価されます。
剣道は「礼に始まり礼に終わる」といわれるように、すべての動作が礼儀作法につながっています。たとえば、道場に入るとき、道場を出るときに必ず行なうのが、道場(体育館)への礼です。また、道場での並び方は社会のルール通りです。
大人になると、礼儀作法を指導される機会は少なくなります。しかし、大人から剣道を始めることで、礼儀作法が身につき、社会でも一目置かれる存在になるでしょう。
さて、これまで大人の女性が剣道を始める際のメリットについて考えてきました。しかし、剣道にはデメリットもあります。続いては大人の女性が剣道を始める際のデメリットについて考えてみましょう。
剣道をするデメリット
大人の女性が剣道に取り組む際に考えられるデメリットは下記の3点です。
- 時間の捻出が意外と大変
- いつの間にか指導者にさせられる
- ノースリーブや半袖が着られない
それぞれについて詳しく解説します。
時間の捻出が意外と大変
剣道の稽古は曜日や時間が決まっています。しかし、社会人である大人の女性は家庭や育児との兼ね合いもあり、なかなか自分の時間が捻出できないのが現状です。
自由な時間に参加できるスポーツジムとは異なり、剣道は稽古相手がいなければ稽古ができません。もちろん、一人でできる稽古方法もありますが、一人での稽古には限界があります。できれば週に2回程度は対人稽古をしたいところです。
しかし、平日の夜を稽古時間にあてている道場も多く、仕事の都合で参加できない人も多いでしょう。したがって、稽古日や時間の都合がつきやすい道場や稽古仲間を探さなければなりません。
時間の捻出は剣道愛好家にとって悩ましいデメリットです。
いつの間にか指導者にさせられる
剣道の道場では指導者不足に悩まされている団体が増えてきました。指導者不足で活動が維持できない団体もあります。
指導不足の道場では、大人から剣道を始めた女性が指導者の立場に立たされることも少なくありません。最初は小学生と一緒に基本稽古をしているだけだった女性も、少し慣れると元立ちの手伝いをさせられます。
「まだ私は教えてもらう立場なのに……」
と考えていても、自分の稽古よりも少年指導が優先です。さらに元立ちに慣れてくると、指導の補助を経て指導者として独り立ちすることになります。
実際、気がつけば指導者の立場になっていたという話もよく聞く話です。特に女性は小さな子供の扱いに慣れている人も多く、指導者として重宝されるでしょう。
しかし、指導に携わることで技術的な面でも自分自身ができているか否かを見直せますし、今まで曖昧だった点についても解決できます。
ノースリーブや半袖が着られない
剣道をしている女性の大きな悩みは、ノースリーブや半袖が着られないことです。理由は次の2つがあります。
- 肩から腕にかけて筋肉が付いてしまう
- 腕に痣ができてしまう
剣道をしていると、ふくらはぎと上腕部の筋肉が発達します。女性は男性より筋肉が付きにくいとはいいますが、稽古方法によってはかなり逞しくなるでしょう。
また、剣道の稽古では腕を打たれることが多く、知らず知らずのうちに痣ができている場合も少なくありません。痣ができていると、私生活に問題があると勘違いされる可能性もあるので注意が必要です。
衣服によってふくらはぎは隠せても、夏場に腕の筋肉や痣を隠すことは難しいでしょう。剣道をする女性の最大の悩みといえます。
剣道を今すぐ始めてメリットを得よう
本記事では大人の女性が剣道を始める10のメリットと3つのデメリットを紹介しました。
実際、筆者の周りで「剣道をしてみたいけど、最初の一歩が踏み出せなかった」と耳にすることがあります。一方で、剣道を始めたことで私生活が豊かになり、職場でも剣道での学びが活かされていると聞くこともありました。
剣道には確かにデメリットもありますが、それ以上のメリットがあります。特に女性は男性に比べて人間関係が複雑になりがちです。そんなときに、剣道で身も心もリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
まずは、今回の記事で紹介したことを参考に、お近くの道場を見学してみてください。