糸東流は空手の4大流派の1つとして挙げられる流派です。
同じ空手という武道であっても、流派によって特色があります。
その特色が最も現れるのが型です。
本記事では糸東流の型の特徴について紹介しています。
お近くに道場が複数あり、入門する道場に悩んでいる方や、入門を悩んでいるお近くの道場が糸東流だという方は参考にしてみてください。
この記事を書いた人
・空手道20年
・柔術10年
幼少期より空手に励み、中学生からは柔術も始める。その他、棒術・居合も経験あり。
現在はWebライターとして活動している。
糸東流の型の特徴は?技が多彩で多くの型が存在
糸東流は空手の4大流派の中で、最も型の数が多い流派です。
さらに、型に含まれる技も多彩であり、投げ技や関節技も多く含まれています。
型の数が多い!4大流派最多の型数
糸東流は50種類以上の型が受け継がれており、4大流派の中で最も型の数が多いという特徴があります。50種類以上の型があり、重厚な型から俊敏に動く型まで多様です。
そのため、ご自分にマッチする型が見つかる可能性も高いと言えます。
競技としての空手に積極的に取り組んで大会で上位入賞を目指すといった場合は指定型(抜塞大、征遠鎮、鷺牌、二十八歩)の修練を積む必要がありますが、そうでない場合は気に入った型を極めることを目指しても良いでしょう。
突き・蹴りだけではない!投げ・関節技も型に多く組み込まれている
糸東流の技法上の1つとして、突きや蹴りだけでなく、関節技や投げ技も1つの技として組み込まれていることが挙げられます。
流祖である摩文仁賢和氏が空手以外の武道も修練した上で開かれている流派であることがその要因です。
他の流派の型においても投げ技や関節技が含まれている物はありますが、糸東流ではより多く含まれており種類も多彩です。
他武術の技も!棒術や釵術の型も存在する
糸東流では、摩文仁賢和氏が修練した武道は徒手字武術だけでなく沖縄古武術の棒術や釵術などの武術も含まれています。
そのため、突きや蹴りなどの徒手武術だけでなく、棒術の型なども存在してるというのも糸東流の特徴の1つとしてあげられます。
ただし、すべての糸東流の道場で棒術や釵術の指導が行われているわけではいないので、徒手武術以外も習いたいという場合は事前に確認しておきましょう。
糸東流にはどんな型がある?糸東流の型一覧
今から道場に入門しようとされている方は、型の名前を見てもピンとこないかもしれませんが、これだけの型があるという目安として、糸東流の型の一覧を以下に紹介します。
参考にしてください。
首里手
首里手は柔軟性・俊敏性を重視した型が多いのが特徴です。
- 平安二段(ピンアン2ダン)
- 平安初段(ピンアンショダン)
- 平安三段(ピンアン3ダン)
- 平安四段(ピンアン4ダン)
- 平安五段(ピンアン5ダン)
- 抜塞大(バッサイダイ)
- 抜塞小(バッサイショウ)
- 内歩進初段(ナイファンチンショダン)
- 内歩進二段(ナイファンチン2ダン)
- 内歩進三段(ナイファンチン3ダン)
- 古流内歩進(コリュウナイファンチン)
- 公相君大(クーシャンクーダイ)
- 公相君小(クーシャンクーショウ)
- 四方公相君(シホウクーシャンクー)
- 慈手(ジッテ)
- 慈恩(ジオン)
- 慈允(ジイン)
- 鎮東(チントウ)
- 腕秀(ワンシュウ)
- 五十四歩(ゴジュウシホ)
- 鷺牌初段(ローハイショダン)
- 鷺牌二段(ローハイ2ダン)
- 鷺牌三段(ローハイ3ダン)
- 石嶺の抜砦(イシミネノバッサイ)
- 知花の公相君(チバナノクーシャンクー)
那覇手
那覇手は筋骨重視であり、重厚な型が多いのが特徴です。
- 三戦(サンチン)
- 転掌(テンショウ)
- 征遠鎮(セイエンチン)
- 十八(セイパイ)
- 十三(セイサン)
- 三十六(センサール)
- 最破(サイファ)
- 師壮鎮(シソーチン)
- 来留破(クルルンファ)
- 壱百零八(スーパーリンペイ)
泊手
首里手と同じく俊敏性を重視した傾倒ですが、泊手の特徴として、片足立ちなどの不安定と思われるような姿勢からの入り身技が挙げられます。
- 泊の抜砦(トマリノバッサイ)
- 松村鷺牌(マツムラローハイ)
- 安南硬(アーナンコウ)
- 泊の鎮東(トマリノチントウ)
- 北谷屋良公相君(チャタンヤラクーシャンクー)
- 国吉の公相君(クニヨシノクーシャンクー)
- 松村抜塞(マツムラバッサイ)
- 親泊の抜砦(オヤドマリノバッサイ)
新垣
- 壮鎮(ソウチン)
- 二十四(ニジュウシホ)
- 雲手(ウンシュ)
白鶴拳
- 白鳥(ハッファ)
- 二十八歩(ニーパイポ)
- 八歩連(パープーレン)
摩文仁賢和
- 十六(ジュウロク)
- 青柳(アオヤギ)
- 明星(ミョウジョウ)
- 心波(シンパ)
- 松風(マツカゼ)
- 新生(シンセイ)
摩文仁 賢榮
- 新生第二(シンセイダイニ)
- 新明星(シンミョウジョウ)
糸東流とはそもそもどんな流派?型を非常に重視した流派!
糸東流は、松濤館流・剛柔流・和道流と並ぶ、空手の4大流派の1つです。突き・蹴りの他に、投げ技や関節技、さらには棒術なども含まれている流派です。
型を基本においた修練が、実戦や組手に結びつくような体系となっています。
多彩な技が特徴である
伝統派空手は、沖縄空手の三大系統である那覇手・首里手・泊手のいずれかの流れを汲んでいます。
しかし、糸東流は開祖である摩文仁賢和氏が那覇手・首里手2つの流派の師の元で修行したのちに開かれているため2つの系統の流れを汲んでいます。
さらに空手だけでなく琉球古武道の棒術、釵術も取り入れられており、技が非常に多彩で総合武道の様な側面を持っています。
型を重要視‼オリンピックメダリストも糸東流
糸東流では型が非常に重視されています。
型を基本として守りながら、約束組手などを通じて実践へと結びつけます。
型の稽古が重点的に行われるという特徴からか、主要大会では糸東流の選手が上位になることも多いです。
例えば東京オリンピックの型部門で日本代表として出場して銀メダルを獲得した清水希容選手は糸東流の選手です。
決勝戦は清水選手とスペインのサンドラ・サンチェス選手の試合でしたが、両者共に糸東流の型において最高難易度と言われている北谷屋良公相君(チャタンヤラクーシャンクー)を披露しました。
清水希容選手が東京オリンピック決勝戦で披露したチャタンヤラクーサンクーです。(動画は2017年の全日本空手道選手権大会決勝)
肉体鍛錬にも重きを置いている
糸東流では型以外に、肉体鍛錬も重要視されています。
稽古の一連の流れの中に、筋力トレーニングが組み込まれている道場も少なくありません。
特に小学生~高校生の門下生に対してはその傾向が強いことが多いです。
まとめ
糸東流の型について紹介しました。糸東流は型にとても力を入れている流派ですので、型の稽古を頑張りたいという方には特におすすめできます。
なお、今回の記事では型についてを取り上げていますが、もちろん型だけではなく約束組手や自由組手の稽古もありますので、組手もやりたいという方でも大丈夫です。
道場が武道としての空手とスポーツとしての空手のどちらを重視しているかで毛色が変わりますので、実際に入門する際は見学や電話などで道場の方針も調べてから入門すると、「思っていたのと違う」ということを無くせます。
こちらの記事を読んで空手に興味が湧いたらぜひ、武道道場ナビで近くの空手道場を探してみてください。