剣道の竹刀は種類が多い|サイズや値段・使い方の違いで選択

剣道で必ず使用する道具は竹刀です。しかし、竹刀の種類が多すぎて、何を買えばよいのかわからないのではないでしょうか。

じつは、公式試合で使用する竹刀は何でもよいわけではなく、全日本剣道連盟の試合審判規則に従わなければなりません。

また、剣道スタイルや得意技などによっても、使用する竹刀の特徴が異なります。具体的には、竹刀全体の長さや重さだけでなく、柄の太さや長さ、形状、重量のバランスなどの特徴です。

この記事では、竹刀の主な種類を例に挙げ、それぞれの特徴を詳しく解説します。また、購入先の選択方法についても解説しました。

ぜひ竹刀を購入する際の参考にしてください。

この記事を書いた人

野川正人

・剣道歴39年
・剣道 錬士七段
一般企業の会社員をしながら、地元中学校の剣道部外部指導員・少年団の指導者として日々活動中。自身の稽古にも継続して取り組んでいる。
剣道の疑問を小中学生や初心者の人にもわかりやすく伝えようとメルマガ、note、ブログにて発信。
2021年に著書「28回も不合格でしたが、なにか?」を執筆し、Amazonにて発売中。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0BSBB8SJ2

剣道の竹刀にはどんな種類がある?長さや竹の違いを解説

剣道の竹刀には種類があり、全日本剣道連盟の剣道試合審判規則では、年齢や性別によって使用できる竹刀を規定しています。したがって、稽古で使用する竹刀については、ある程度自由ですが、試合では規程内の竹刀を使用しなければなりません。また、竹刀にはいくつかの素材があり、それぞれ特徴があります。

そこで、この章では主に以下の2点について解説します。

  • 竹刀の長さの違い
  • 竹刀の素材の違い

上記は竹刀を選ぶ際のもっとも基本的な考えです。詳しく見ていきましょう。

竹刀の長さと読み方|試合審判規則での規定も解説

竹刀を選定する際、目に入るのが「36」や「37」など二桁の数字です。この数字は竹刀の長さを表したもので、尺貫法で記載されています。下記は具体的な例です。

  • 36:3尺6寸
  • 37:3尺7寸

1尺は約3.03cmなので、3尺7寸は約112cm。一般的には2尺6寸から3尺9寸までの竹刀があり、全日本剣道連盟の試合審判規則には下記のように一刀の場合と二刀の場合に分けて記載されています。

出典:全日本剣道連盟
出典:全日本剣道連盟

試合審判規則では小学生についての記載がありませんが、一般的な3尺6寸以下の竹刀であれば問題ありません。上記は尺貫法ではなくcmで記載されているため、実際に販売されている竹刀と異なります。基本的には、下記のように考えれば問題ないでしょう。

  • 小学生:36
  • 中学生:37
  • 高校生:38
  • 大学生・一般:39

長さは規定以内であれば短い竹刀を使用しても問題ありません。ただし、短い竹刀で重量を満たす竹刀はほとんど無いので注意が必要です。一般の女子では38の竹刀を使用される方もいらっしゃいますが、一般男子用の38は特注品となります。

また、数字の読み方は、尺と寸を抜いた数字の略称です。たとえば、3尺7寸の竹刀は、「さぶなな」や「さぶしち」などと呼ばれます。明確に決められていないため、ある程度自由に呼んでも問題ありません。

竹刀の素材は3種類

竹刀の素材は基本的に竹ですが、化学製品のカーボン素材を使用して製作された竹刀もあります。ただし、カーボン素材の『カーボンシナイ』は2024年3月に生産中止となりました。よって、2024年4月以降は、在庫品のカーボンシナイを除き、竹を使用した竹刀のみとなります。

ただし、竹にも「桂竹」と「真竹」の2種類があり特徴が異なるので、ある程度理解しておくと良いでしょう。

桂竹は大量生産されているため、価格も比較的安価ですが、割れやささくれが起こりやすいデメリットがあります。一方、真竹は数が少なく桂竹より高い価格で販売されていて、柔軟性があり打ち心地が良い点がメリットです。また、どちらも国産と外国産の素材があり、外国産の竹刀は比較的安価で購入できます。

剣道の竹刀の選び方|4つの指標で考える

具体的にどのように竹刀を選べばよいのか考えてみましょう。竹刀の選び方は主に以下の4つです。

  1. 長さと重さ
  2. 竹刀の重量バランス
  3. 柄部分の太さと長さ
  4. 柄の形状

それぞれ詳しく解説します。

剣道における竹刀の重さの選び方

前述のとおり、竹刀の長さは全日本剣道連盟の試合審判規則によってある程度決まっています。しかし、小学生以下のお子さんは成長度合いに応じて適切な竹刀の長さを選ぶべきです。長すぎても上手く振れませんし、短すぎると同年代の相手と対峙したときに届かなくなります。

一般的に、子どもの竹刀は床に剣先を付けたときに脇の位置程度が最適とされています。

また、大人でも体格によって腕の長さも異なるため、ある程度の調整が必要です。後述しますが、竹刀の柄の長さは腕の長さを考慮すべきでしょう。

昔の人は「重いものを軽そうに、軽いものを重そうに振れ」と言ったそうです。しかし、軽い竹刀の方が扱いやすいため、特に試合や昇段審査では重量の軽い竹刀を好む人が多いでしょう。ただし、試合審判規則の範囲内での軽さということになります。

高野佐三郎著『剣道』には、下記のように書かれていました。

平素は、やや重い竹刀を使い、馴れるとよし、しかし試合などの時には、これよりやや軽きものを使えば自在に技を演じ得る。要は自己の力量に相応じたものが良いでしょう。

高野佐三郎著『剣道』より

「稽古」とは古(いにしえ)を考えることです。高野佐三郎先生の言葉を参考にしてみてはいかがでしょうか。

竹刀の重量バランス

竹刀は長いため、重量だけでなくバランスが重要です。竹刀の重量を大きく分類すると下記のような種類があります。

  • 胴張り(実戦)型
  • 一般型
  • 古刀(直刀)

胴張り型の竹刀は、手元に近い位置が太くなっており、重心が手元に近くなります。重心が手元に近くなると、剣先が軽くなるため、竹刀操作が容易であり、素早い動作が可能です。また、極端な胴張り型を実践型といいます。近年は極端に先の細いスーパーバランス竹刀と呼ばれる竹刀もあるため、試合審判規則が厳しくなりました。剣先が細いことで、試合中の破損が多かったことが要因です。

古刀型は柄から剣先までに膨らみが少なく、重心が先の方になる先重竹刀です。膨らみが少ないため、直刀型とも呼ばれます。ずっしりと竹刀の重みを感じられることから、相打ちになったときに効力を発揮。ただし、初心者には扱いづらいでしょう。

胴張り型と古刀型の中間が一般型と呼ばれる竹刀です。バランスが良く、価格も安いものが多いので、初心者にもおすすめできます。

竹刀のバランスは、剣道のスタイルや得意技によって竹刀を選んでみてください。

柄部分の太さ・長さ

竹刀の長さと同様に、柄部分の長さは腕の長さと関係します。腕の長い人は柄の短い竹刀は扱いづらく、反対に腕の長い人は柄の長い竹刀は扱いづらいため、自分の腕の長さに最適な柄の長さを選びましょう。また、上段の構えには長い柄が有利です。構えによっても柄の長さを調整することをおすすめします。

長さと同様に、手の大きさや指の長さの違いには、竹刀の柄部分の太さが重要です。手の大きな人は、太い柄を好む傾向があります。反対に、手の小さな人には柄の細い竹刀がおすすめです。握りやすさは手の内の操作性とも大きな関係性があるため、握りやすい太さの竹刀を選んでください。

柄の形状

竹刀の柄にも、主に下記の3種類の形状があります。

  1. 小判
  2. 八角小判

近年は上記の3種類以外にも、右手と左手部分の形状が異なる竹刀も開発されています。

一般的には丸い形状の竹刀が多い状況ですが、近年は小判型や八角小判型の竹刀も増えてきました。剣道の竹刀は日本刀の代用なので、日本等と似た形状である小判型や八角小判型を使用することで、日本刀の握り方に近くなるというものです。

小中学生で、正しい握り方ができない人には小判型や八角小判型の竹刀もおすすめ。ただし、個人的には慣れるまで胴が打ちづらい印象です。

竹刀の節に込められた5つの意味

子ども用の短い竹刀や使用する竹によって異なりますが、剣道では古くから5つの節のある竹刀が理想的とされてきました。じつは、5つの節には、「五倫」と「五常」の意味が込められています。「五倫」と「五常」は、孟子が説いた儒教の訓えです。具体的には以下のとおり。

  • 五倫:基本的な人間関係を規律するもの(父子の親・君臣の義・夫婦の別・長幼の序・朋友の信)
  • 五常:人が守るべき五つの徳(仁・義・礼・智・信)

五常は具体的に下記の意味があり、竹刀の剣先の節から順に「仁」「義」「礼」「智」「信」の意味があります。

  • 仁(仁義・真実・誠):思いやりの心を持つこと
  • 義(義理・筋):正しい行いをすること
  • 礼(礼儀):尊敬、敬う心を持つこと(豊かな心を示すこと)
  • 智(知徳):正しい判断をすること
  • 信(信頼):周りの人から信頼されること

竹刀を使用して剣道に取り組む際には、「五倫」と「五常」を意識することをおすすめします。

剣道で使用する竹刀の値段はどれくらい?

近年の物価高騰により、竹刀の価格も少しずつ高くなってきました。それでも、ネット通販の価格を見ると、以前のように安価で販売されているショップも多いようです。竹刀の相場や、購入場所について考えてみましょう。

竹刀の値段|平均価格はどれくらい?

ネット通販で竹刀の値段を確認すると、最安値は1,200円程度となっています。残念ながら一般が使用する39竹刀に関しては見つかりませんが、高校生以下が使用する38以下の竹刀は、まとめ買いなどを利用すれば1,200円程度で購入が可能です。

一方で、実店舗の状況を確認すると、高校生以下が使用する38竹刀の普及型竹刀は2,000円前後となっています。ただし、重量やバランス、柄の長さなどにこだわると、その限りではありません。

38以下の竹刀は比較的安価で購入できますが、一般向けの39竹刀は同じ銘柄でも価格が高くなります。39竹刀の価格は、安いもので3,000円程度、高い竹刀は竹だけで10,000円以上です。高価な竹刀は実際に持ってみると、振りやすさの違いを感じるでしょう。ただし、価格が高いからといって、長持ちするわけではないので注意が必要です。

竹刀購入はネット通販?それとも実店舗?

竹刀購入はネットを利用すべきか、それとも実店舗を利用すべきかと考える方も多いのではないでしょうか。価格重視ならネット通販、実際に手に持ち、目で確認して購入したいなら実店舗がおすすめです。

ネット通販の一番のメリットは価格が安いことです。また、近隣地域に竹刀を取り扱っている武道具店やスポーツ用品店が無い場合には、わざわざ出かけなくても購入できます。

しかし、ネット通販で購入できる安価な竹刀はどうしても玉石混交であり、中には柄革が回ってしまうものやすぐに破損するものがあることも事実です。したがって、品質を重視する場合には、自分で竹刀を持ってみてバランスや握りを確認しなければなりません。

したがって、竹刀の購入は、価格重視の場合にはネット通販がおすすめ。実際に確認して購入したい方には実店舗での購入がおすすめです。

剣道の竹刀は価格と好みのバランスで選ぶ(まとめ)

剣道の竹刀は、剣道試合審判規則に適合したものを使用しなければなりませんが、規則の範囲内で自分に合ったものを選ぶことをおすすめします。

竹刀を選ぶポイントは、主に以下の5点です。

  • 竹刀の長さと重量
  • 重心の位置とバランスの好み
  • 柄革の長さ
  • 柄の太さと形状
  • 価格

竹刀はある程度は自分用にカスタム可能なので、そういった点も含めて竹刀を選んでみてください。また、竹刀にある竹の節には「五倫」と「五常」の意味が込められていることも覚えておくとよいでしょう。

自分の剣道スタイルに合った竹刀を購入したら、出稽古にも出かけてみてはいかがでしょうか。

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