ペットボトルを使った剣道の素振りや新しい練習法を剣道七段が解説

「自宅でこっそり強くなる方法があれば知りたい」
「お金をかけずに素振り用竹刀を作りたい」

上記のように考えたことはないでしょうか。

自宅で素振りをするには普通の竹刀では壁や天井に当たり、危険なこともあります。そんなときに便利なのが室内用の素振り用竹刀です。しかし、室内用の素振り用竹刀は意外と高額商品なので、なかなか購入できません。

そこで、本記事では手軽に入手できるペットボトルを使用して自作する方法を剣道練士七段の筆者が試しながら紹介します。ペットボトルを剣道の素振りに使用する方法は、とても簡単そうに思えて意外と情報が少ない状況です。

記事内では、他社のWeb記事では見つからない方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

ペットボトルを使った剣道の素振り!工夫次第で強くなれる

ペットボトルを使った簡単な素振りの方法を3つ紹介します。

  1. ペットボトルを使った片手素振り
  2. 手首と手の内の柔軟性を身につける素振り
  3. ペットボトルに柄を付けて室内素振り

それぞれ詳しく解説します。

剣道の片手素振りはペットボトルがあればどこでもできる

ペットボトルを持ったら無意識に振ってしまう剣道愛好家も多いのではないでしょうか。ペットボトルで片手素振りはもっとも手軽な素振りの方法です。

ただし、空のペットボトルを振るなら、何も持たずに手刀での素振りをおすすめします。ペットボトルは形状によっては持ちづらく、正しい握り方ができない可能性があるためです。

したがって、ペットボトルでの素振りをする際には、ペットボトルの中に水を入れて重量を調整しましょう。水では負荷が足りないと感じる場合には、砂や小石を入れてみてください。間違っても、金属などは入れないようにしましょう。

ペットボトルも握りやすい形状のものと握りにくい形状のものがあります。筆者が持ちやすいと感じたペットボトルはサントリー『オランジーナ』でした。炭酸飲料のペットボトルは比較的飲み口側が細くなっている商品があるので、探してみてください。

もし、ペットボトルがどうしても握りにくいと感じるのなら、ビール瓶やワインの瓶、一升瓶での素振りもおすすめです。

漫画『六三四の剣』で主人公の夏木六三四は、ビール瓶に砂を入れて素振りをしていました。ただし、重すぎると手首を痛める危険性があるため注意が必要です。

ペットボトルを魔改造!両手でできる室内素振り

ペットボトルでは片手素振りはできますが、両手を使った素振りができません。剣道は基本的に両手を使用するため、左手だけでなく右手の使い方も重要。おすすめは両手を使った素振りです。

しかし、ペットボトルで両手を使った素振りをするには、「柄」部分がなくてはなりません。そこで、ほかの材料を使ってペットボトルを魔改造しましょう。

柄部分には、食品用包装ラップフィルムの芯材や新聞紙を丸めたものを使用します。ただし、新聞紙は強度が弱いため、中に竹刀の竹を切った芯を入れるのがおすすめです。ペットボトルのキャップ部分がラップの芯にピッタリのサイズなので、工夫次第でしっかり固定できます。

室内素振り用竹刀はペットボトルと食品用ラップフィルムの芯を組み合わせて自作可能

柄部分とペットボトルの接合方法が難しい場合は、菜箸4本(2膳)をうまく使って、ガムテープなどで固定すれば簡単です。(Xにて情報提供いただきました)

ペットボトルを魔改造した素振り刀は、竹刀よりも短いため室内での素振りに最適です。重量は、ペットボトルの中に水や砂を入れることで調整できます。ぜひ、あなたの魔改造を楽しんでみてください。

手首と手の内の柔軟性をつくるペットボトルの素振り

剣道は上下に竹刀を動かすだけではありません。じつは、竹刀を振る技術のなかでも、もっとも難しいのが手の内と手首の使い方です。手の内と手首の使い方は、ペットボトルを使って身につけられます。

下記はXに投稿された動画です。

小指と薬指を緩めたり握ったりすることで、構えた状態でも竹刀を大きく動かせます。ペットボトルで手軽に訓練できるので、動画を参考にしながら日々取り組んでみてください。

上手く指を使えるようになれば、竹刀の重量を気にせずに速い打突ができるようになります。

ペットボトルでゲーム感覚の剣道素振り

ペットボトルを使った、ゲーム感覚で取り組める2つの素振り方法を紹介します。

  1. 素振りでペットボトル飛ばし
  2. ペットボトルを打って正確性を身につける素振り

それぞれ詳しく解説します。

ペットボトルを飛ばして冴えを身につける

剣道の素振りでペットボトルを飛ばすと、冴えが身につきます。ペットボトルを飛ばす素振りは、東山堂の商品『面鳴り』に似た効果が得られる方法です。

『面鳴り』を使用すれば、素振り時の起動や止める位置、左右の手のバランス、手の内の作用、打突の冴えなどを身につけられます。ただし、購入すると1万円以上するため、なかなか購入できない商品です。

したがって、似たような効果が得られるペットボトルを使った素振りをおすすめします。ただし、連続での素振りには対応していないのでご了承ください。実際にペットボトルを飛ばしてみましたが、意外と難しいです。苦戦している動画を御覧ください。

具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 500mlのペットボトルを切って竹刀に被せる
  2. 振りかぶる
  3. 振り下ろすと同時にペットボトルを飛ばす

冴えのある素振りができれば、ペットボトルは遠くへ飛びます。また、ペットボトルではなく、紙コップやトイレットペーパーの芯でも代用可能です。ただし、トイレットペーパーの芯は竹刀の太さによっては使用できません。竹刀の先に面紐を括り付けての素振りでも似たような効果が得られます。

上記は4年前のコロナ禍に撮影した私の映像です。面紐を竹刀の先に結んで素振りをすると、「パンッ」とよい音が鳴ります。ぜひお試しください。

ペットボトルの上を打って打突の正確性を身につける

ペットボトル自体で素振りをするのではなく、ペットボトルを打つ方法もあります。ゲーム感覚で楽しむのがおすすめです。

ペットボトルが安定するように、1.5リットルまたは2リットルのペットボトルを用意してください。さらに、ペットボトルの中には水を入れておくとよいでしょう。

あとはペットボトルの蓋を目がけて打ち込むだけです。竹刀の損傷を防ぐため、蓋部分にゴムやスポンジなどを貼り付けることをおすすめします。画像はメラミンスポンジを貼り付け、階段に置いて面の位置に高さを調整した状態です。

ペットボトルで打突の正確性を養う素振り方法

仲間とポイントを競うゲームとしても楽しめます。この方法は、打突時における左右の手のバランスがよくなり、打突の正確性が養われるでしょう。

ペットボトルで新たなトレーニング!下半身強化にも最適

素振り以外の活用方法についても紹介しましょう。ペットボトルには、以下のような変わった利用方法もあります。

  • 足さばきに活用
  • 発声に活用

それぞれ詳しく解説します。

ペットボトルを膝に挟んで正しい足さばきを!

ペットボトルを膝に挟んで足さばきの稽古はかなり難しい

足さばきの稽古を行う際に、ペットボトルを左右の膝で挟んで構えることで正しい足の幅を維持できます。正しい足の位置は、左右に約10cmから肩幅程度に開いた構えです。幅が狭い場合は、滑らかな移動ができなくなり、構え自体も不安定になります。

ペットボトルを両膝で挟むことにより構えが安定するので、ぜひ試してみてください。

ペットボトルを両膝に挟んだ状態での前後の送り足も可能です。歩幅を小さくしなければペットボトルが落ちてしまうので、何度は高いでしょう。小さく速い送り足の稽古におすすめです。

発声練習にも最適なペットボトルの使い方

剣道を始めたばかりの初心者のなかには、大きな声の出し方がわからない子どももいます。大きな声は「腹から出せ」と言われますが、そういう子どもたちは腹から出す方法がわかりません。

おすすめの発声練習は、ペットボトルを股の間に挟んで発声する方法です。

ペットボトルを股に挟むことで下半身が安定し腹から大きな声が出るようになります。見た目が悪く、実践する前には恥ずかしいと感じるかもしれませんが、一度試してみてください。

剣道の有効打突は「充実した気勢」がもっとも重要です。まずはペットボトルを使った発声方法から取り組んでみてはいかがでしょうか。

ペットボトルは工夫次第でさまざまな剣道の素振りが可能(まとめ)

本記事ではペットボトルを使用した剣道の素振り方法や足さばき、発声練習にいたるまで紹介しました。

ペットボトルは簡単に手に入る素材ですが、剣道の素振りをするには使いづらいと考えているかもしれません。しかし、ペットボトルは工夫次第でさまざまな活用方法があります。

記事内で紹介した方法で、楽しく剣道に取り組んでみてください。こっそり自宅で素振りをしてライバルに差をつけるのもいいですが、道場でゲーム感覚で競い合うのも楽しいと思います。

ライバルに差をつけたいなら、自宅でこっそり素振りするだけでなく、近くの道場へ出稽古してみてはいかがでしょうか。

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