全国の剣道が強い高校!インターハイの結果から男子・女子それぞれ3校ずつ紹介(動画あり)

剣道をしている人が注目するのが、高校剣道界です。競技剣道としては、中学校でも大学でもなく、高校がもっとも熱いと感じている人も多いでしょう。

高校生は体力的に成熟する時期であり、技やスピード、パワーなどが急激に向上します。なかでも、トップレベルの高校生は大学生・一般のトップレベルの選手と比較しても遜色ないレベルです。

本記事では、インターハイの結果に基づく剣道が強い高校を5校のみ紹介しています。高校生の大会はほかにも国スポ(国体)や高校選抜、玉竜旗大会などがありますが、すべてを網羅できませんでした。

剣道の強い高校への進学を検討する際には、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人

野川正人

・剣道歴39年
・剣道 錬士七段
一般企業の会社員をしながら、地元中学校の剣道部外部指導員・少年団の指導者として日々活動中。自身の稽古にも継続して取り組んでいる。
剣道の疑問を小中学生や初心者の人にもわかりやすく伝えようとメルマガ、note、ブログにて発信。
2021年に著書「28回も不合格でしたが、なにか?」を執筆し、Amazonにて発売中。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0BSBB8SJ2

男子剣道が強い高校!インターハイ上位を調査

2021年から2024年までのインターハイの結果を表にまとめました。2020年は新型コロナ感染症のため、インターハイが開催されていません。

開催年/順位優勝準優勝第3位
2021年九州学院高校(熊本)秋田商業高校(秋田)玉島高校(岡山)
明豊高校(大分)
2022年島原高校(長崎)日章学園高校(宮﨑)九州学院高校(熊本)
育英高校(兵庫)
2023年九州学院高校(熊本)福岡第一高校(福岡)大社高校(島根)
水戸葵陵高校(茨城)
2024年九州学院高校(熊本)明豊高校(大分)桐蔭学園高校(神奈川)
聖光学院高校(福島)

剣道の強い高校としてもっとも有名なのは、何といっても『九州学院高校』です。直近4年間に3回も優勝しています。ここでは、九州学院のほか、福岡の福岡第一高校と大分の明豊高校について詳しく紹介します。

島原高校や日章学園高校、秋田商業高校、水戸葵陵高校など有名ですが、文字数の関係で省略しました。

九州学院高等学校(熊本)

九州学院高等学校は、熊本県熊本市にある私立高等学校です。「剣道が一番強い高校はどこ?」と問われれば、誰もが「九州学院」と答えます。それほどまで剣道界では有名な高校です。

剣道部は玉竜旗高校剣道大会で5度優勝。インターハイや国スポ(国体)、高校選抜でも数々の優勝を飾っています。監督兼顧問の米田敏郎氏、〆一司氏はともに九州学院卒で、選手よりも有名かもしれません。

九州学院の公式ホームページによると、部員数は31名となっています。入部の際の基準と必要条件として、「九学剣道部員としてふさわしい人」「日本一を目指す高い志と技量(技術)があること」と記載されていました。

1991年に男女共学に移行しましたが、剣道部に在籍するのは男子のみです。

明豊高等学校(大分)

明豊高等学校は、大分県別府市にある私立高等学校です。剣道部の歴史は浅く、男女ともに創部してから10年前後。男子が創部されてから3年後に女子が創部されたが、ともに強豪チームに成長しています。

創部6年目にして、男子が全国選抜大会準優勝、女子が全国4大大会(全国選抜、魁星旗、玉竜旗、全国総体)のうちの3大会で準優勝しました。インターハイにおいても2022年には女子が、2024年には男子が準優勝を果たしています。

指導する監督は、岩本貴光氏(PL学園高校、筑波大学)。中学(明豊中学)・高校・大学(別府大学)の3校でお互いに切磋琢磨できる環境が、明豊高校剣道部の最大の強みでしょう。

福岡第一高等学校(福岡)

福岡第一高等学校は、1956(昭和31)年に開校した福岡市にある私立高等学校です。

男子剣道部は、平成20年度と令和元年度に玉竜旗大会で優勝、女子剣道部も平成27年度に玉竜旗大会で優勝しています。男女ともに剣道が強い高校のイメージです。

福岡第一高校の公式ホームページには、「剣道部は『夢』を実現できる部活動」と記載されているとおり、日本一の夢を実現できる場所といえます。

田城監督(教士七段)は、強い少年剣道で有名な今宿少年剣道部とも関わっていたこともあり、今宿少年剣道部出身の選手も在席。「剣道を通じて世の中に出ても活躍できる人間をつくること」という指導方針により、各選手の得意技に重点を置いて日々の稽古に取り組んでいるといいます。

福岡県には、強豪校の福大大濠高校もあり、互いにしのぎを削っている状況です。

女子剣道が強い高校!インターハイ上位を調査

2021年から2024年までのインターハイの結果を表にまとめました。

開催年/順位優勝準優勝第3位
2021年中村学園女子高校(福岡)八代白百合高校(熊本)守谷高校(茨城)
鈴鹿高校(三重)
2022年中村学園女子高校(福岡)明豊高校(大分)八代白百合高校(熊本)
東海大札幌高校(北海道)
2023年守谷高校(茨城)明豊高校(大分)三養基高校(佐賀)
健康福祉大学高崎高校(群馬)
2024年中村学園女子高校(福岡)八代白百合高校(熊本)東奥義塾高校(青森)
明豊高校(大分)

女子は中村学園女子高校の一強イメージが強くありますが、茨城の守谷高校や八代白百合高校、東奥義塾高校なども目立ってきました。また、明豊高校は男女ともに良い成績を残しており、中村学園女子の一強時代を終わらせる可能性もあるでしょう。

中村学園女子高等学校(福岡)

中村学園女子高等学校は福岡市にあり、1960年(昭和35年)4月に開校した私立女子高等学校です。女子で剣道部が強い高校といえば中村学園女子のイメージがあり、有名選手も多数輩出しています。

監督兼顧問の岩城規彦氏の指導方針は、「一流の選手である前に、一流の高校生たれ」というもの。コロナ禍には大会がなく、選手のモチベーション維持ができなかったため、「剣道を通じてどういう人間になりたいのかを考えなさい」とメンタル面の強化に努めたそうです。

中村学園女子では現在、主に以下のような取り組みを行っています。

  •  将来性を見据えた剣道指導(心構え 技術)
  •  目標は正々堂々の日本一
  •  いかに挑戦心を持たせるか
  •  次世代で活躍する女性の育成(剣道を通じての人づくり)

岩城監督は、就任当時はとくに女子選手の育成ができずに苦労したそうですが、試行錯誤のうえ現在のような成績を残せるまでになったとのこと。

守谷高等学校(茨城)

守谷高等学校は茨城県守谷市にある公立の高等学校で、昭和58(1983)年4月に開校しました。

守谷高校は県立の普通高校でありながら、24年連続でインターハイに出場しています。加えて、インターハイでは12回の優勝、13回の準優勝と輝かしい成績。間違いなく剣道の強い高校です。

監督の塚本氏は、自宅を部員の寮として開放しています。県立高校であり私立のような援助がないため、監督が自腹を切って支援することもあるとのこと。

また、塚本監督は「他喜自倖」と言い、他人が喜ぶことに幸せを感じるといいます。指導方針は柔軟であり、時代に合った指導に変化しているのも大きな特徴です。

八代白百合高等学校(熊本)

八代白百合高等学校は、熊本県八代市にある私立高等学校です。学校法人白百合学園が運営するカトリック系の女子校で、1909年に開校しました。

八代白百合高校剣道部の目標は以下の3つ。

  • 日本一になる
  • 求められる人間になる
  • 好循環をつかむ

上記の目標に向け、日々の稽古に取り組んでいます。

剣道部員は全員が寮生活をしていて、仲が良くて元気なところが一番のアピールポイントです。持ち前の明るさで、第31回全国高等学校剣道選抜大会で、16年ぶり5回目の優勝を果たしました。

監督兼顧問の澤田氏は決まった練習というものを特に設定せず、生徒の個性を伸ばすために状況に合わせた指導をしているといいます。

剣道が強い高校の共通点

剣道が強い高校のイメージは「九州の高校」です。過去4年間のインター杯の結果だけを見ると、ベスト4の合計32のうち19が九州の高校となっています。また、優勝している高校は男女で守谷高校の1回以外はすべて九州の高校です。

したがって、九州地方の県大会、九州大会は全国トップレベルといえるでしょう。

また、近年の部活動全般にいえることですが、剣道が強い高校もほとんどが私立高校です。表で取り上げた高校のなかで、公立高校は島原高校、大社高校、玉島高校、守谷高校、三養基高校の5校のみとなっています。

ただし、近年は公立高校においても県外からの選手が増加傾向です。そのため、剣道で強くなりたい中学生は、地元の高校でなく剣道の強い学区外の学校への進学が増えています。

まとめ

本記事では、剣道が強い高校について詳しく紹介しました。記事内で取り上げたのは、以下の6校です。

  • 九州学院高等学校(熊本)
  • 明豊高等学校(大分)
  • 福岡第一高等学校(福岡)
  • 中村学園女子高等学校(福岡)
  • 茨城県立守谷高等学校(茨城)
  • 八代白百合高等学校(熊本)

剣道が強い高校への進学を希望するなら、上記の学校がおすすめです。一方、そのほかにも剣道が強い高校は各地にあります。ぜひ、地区予選などの見学して、その地域で強い高校をチェックしてみてください。

しかしながら、剣道は試合に勝つだけが目的ではありません。剣道の本来の目的は人間形成です。筆者は、試合偏重にならないことを強く願っています。

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