剛柔流空手の特徴とは!?沖縄剛柔流との違いや現在の状況を徹底解説

剛柔流空手は伝統派四大流派としても、沖縄三大流派としても数えられる流派。

創始者である宮城長順は、映画ベスト・キッドの登場人物のモデルとなるなど世界的に広く知られる空手家です。

その影響は現在、伝統的な空手道だけでなく、フルコンタクト空手の中にも受け継がれています。

相手の力を逆に利用して大きな力に変えるという発想は、空手だけでなく多くの格闘技に共通するもの。

空手各派の中でもこの理論を中心におきつつ、科学的なトレーニングを最初に取り入れたのも剛柔流です。

この記事ではそんな剛柔流空手の特徴や歴史を詳しく解説します。

この記事を書いた人

kazu

空手道・糸東流糸洲会有段者、好きな型はバッサイダイです。
現在はボクシングに取り組んでおり、自分の経験を踏まえた武道や格闘技に関する情報を発信。
その他にも英語学習や美術に関する記事も制作しています。

剛柔流の特徴

出典:KARATE JOURNAL

剛柔流は「受け」や「払い」を中心にした、円形の動作が随所に取り入れられているのが特徴的です。

この円形の動作は相手の攻撃の力を殺して、自身の攻撃に利用する格闘技の基本的な考え方に基づいています。

空手に限らず柔道やボクシングなど、あらゆる格闘技において重要なのがこの「相手の力を利用した攻撃」です。

力だけで思い切り相手を殴っても、よほど体格の差がない限り相手を倒すことができませんが、相手の勢いを利用することで小さな力でも相手を倒すような攻撃が可能になります。

相手の勢いを利用するための稽古として特徴的なのが「カキエ」と呼ばれる小手鍛えです。

小手鍛えとは2人1組となって、片方が掌底を打ち、相手はそれを払いや受けで防御して掌底を打替えす稽古。

お互いにだす攻撃が決まっている、いわゆる「決まり組手」のような練習です。

この稽古を繰り返すことで、小さな動きで相手の攻撃をいなし、反撃することが可能になります。

このように理論的な攻撃や防御を学ぶだけでなく、空手各派の中でもいち早く道具を利用した筋力トレーニングを導入したのもこの流派の特徴といえるでしょう。

沖縄剛柔流や剛柔会とは?

ネットなどで調べてみると「沖縄剛柔流」や「剛柔会」という名を目にすると思います。

これらの団体は基本的に同じ流派の道場などが寄り集まってできた組織です。

主に沖縄空手と伝統派空手の道場に分かれており、道場によって所属する団体が異なります。

伝統派空手の場合には基本的に全日本空手道連盟の傘下となっていますが、その中でも複数の団体がありその一部が剛柔会という名称を利用しています。

これは剛柔流に限った話しではなく、例えば私がならっていた道場は、全日本空手道連盟の糸洲会という団体で流派は糸東流でした。

沖縄空手の道場は比較的スポーツ要素が薄い場合もあります。

空手の流派や種類に関しては詳しく解説している記事があるので、そちらを参考にしてみてください。

ただし、空手はどの流派や協会に属しているか以上に、各道場で重視する練習内容が違うので実際に道場に体験や見学に行ってみるのが良いでしょう。

剛柔流の歴史

出典:本部流

剛柔流の歴史は、創始者である宮城長順が作ってきたと言っても過言ではありません。

宮城長順は1888年に沖縄県那覇市に生まれました。

14歳で那覇手の大家である大家東恩納寛量(ひがおんなかんりょう)に師事。

27歳頃、中国の福州で中国武術を学び、帰国後に中国で学んだ武術と那覇手を融合させて現在の剛柔流の基礎を作り上げました。

その後、警察の訓練学校や那覇市の商業学校、さらには本州の大学でも空手の指導を行うように。

この頃に自身の流派を正式に「剛柔流」と名付けたと言われています。

剛柔流とは宮城が福州で学んだ白鶴拳の伝書の「法は剛柔を呑吐し身は随時応変す」という一説からとったものです。

この一説では攻撃的精神を表す「剛」と守りの「柔」を一体としたところに生まれる、争いを避ける気持ちが表現されています。

その心は「人に打たれず、人を打たず、事なきをもととするなり」という宮城の言葉の中からも伺えるでしょう。

また、宮城長順は1935年に海外での空手普及のためにハワイに渡り、現地での指導に約10ヵ月間従事。

今日の世界的な空手普及にも大きな影響をあたえました。

剛柔流と極真空手の関係

出典:週刊現代

フルコンタクト空手の代表的な流派の1つである極真会館。

一見すると関係の薄いように見える流派ですが、じつはとても深い関係を持っています。

極真会館の創始者である大山倍達は、船越義珍に師事した後、剛柔流の1つである剛柔会を創始した山口剛玄に師事。

そのためか極真会館の型は剛柔流と似ているものが多いです。

また極真会館の前身となった「大山道場」で指導にあたっていたのは、大山倍達の他に松涛館流の安田英治と剛柔流の石橋雅史の2名でした。

空手道の中でも実践を重視する極真空手ですが、その理論や基礎的な練習内容は剛柔流の影響が色濃く見られます。

剛柔流の組手はフルコンタクト?

剛柔流が極真空手と近い流派である関係か、一部の選手がフルコンタクトルールの空手の大会などに出場しているようです。

そのことから「剛柔流の組手はフルコンタクトなのか?」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

剛柔流の道場で行われる組手は基本的にフルコンタクトではありません。

全日本空手道連盟に所属している道場では、スポーツ組手のルールが採用されています。

道場によっては組手の練習はあまり行わない道場もあるようです。

剛柔流で実践でも活かしやすい技術を学ぼう

この記事では剛柔流空手について解説してきました。

剛柔流は小手鍛えなどの鍛錬を通して相手の勢いを使った攻撃が特徴的で、対人での戦いを理論的に組み立てていくのが特徴的です。

フルコンタクト空手の大家である大山倍達も、そのような理論を学んでいたからこそより実践的な空手の創始に力を注いだのではないでしょうか。

しかし空手は同じ流派内でも、道場によって異なる部分も少なくありません。

まずは自宅付近の道場に足を運んでみて実際の雰囲気を体感してみてください。

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