少林寺拳法を習っている人やこれから習おうとしている人は、少林寺拳法の黒帯はどうやったら取れるのか知りたいと思うでしょう。
実は、少林寺拳法の黒帯は比較的簡単に取ることが可能です。
少林寺拳法有段者の筆者が黒帯を取る方法を徹底解説するので、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人
少林寺拳法弐段の有段者。
武道の疑問を解決する記事を書くので、ぜひ参考にしてください。
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少林寺拳法で黒帯を取るための道のり
少林寺拳法で黒帯を取るには、練習時に真面目に修行を行い、習ったことをしっかりできるようにすることが大切です。
少林寺拳法で黒帯(黒帯)を取るために必要なことは、3つあります。これらを理解して、日々の修行に励むことで難なく黒帯になれるでしょう。
- 一級まで昇級を果たすこと
- 少林寺拳法の資格制度
- 黒帯(初段)取得のための必要条件
以下に詳しく解説します。
一級まで昇級を果たすこと
少林寺拳法では、見習いから修行を重ね、その級で必要な技の習得や拳士としてのふるまいができている段階で、指導者が昇級試験を受けることを勧めます。
そのため、初段を目指すためには一級まで昇級することが必要です。
少林寺拳法の資格制度については、以下で解説します。
少林寺拳法の資格制度
少林寺拳法の資格制度ですが、以下の受験資格をみたさなければなりません(ただし、この2つは必要最低条件)。
見習いから8級(または6級、開始年齢で変わる)→7級と昇級し、1級の次が初段(黒帯)となります。昇格するにしたがって帯の色も変わり、最後は黒帯です。
少林寺拳法の帯の結び方などの関連コラム「少林寺拳法【帯の結び方 】と【道着の着方】を有段者が分かりやすく解説!」もご覧ください。
少林寺拳法昇格考試の受験資格
少林寺拳法昇格考査を受けるためには、最低限、以下の2つの受験資格を満たすことが必要となります。これらの受験資格を満たしたうえで、道院長の総合的判断により許可が出れば受験が可能となります。
- 修行期間(入門もしくは最終資格取得日からの期間のこと)
- 参座日数(練習への参加日数つまり出席日数のこと)
道院長が許可を出す判断材料
ポイントは昇級に値する状態であるかどうかとなります。いくら技が上手くても、人として良くない行動や言動がある場合は、許可を得ることは難しいでしょう。
道院長が受験の許可を出す大きな判断基準は以下の2点となります。
- 少林寺拳法の拳士としての礼儀作法や立ち振る舞い
- 技の習熟度
少林寺拳法の昇格考試
少林寺拳法では、昇級および昇段試験を昇格考試と呼びます。上記した「受験資格」「道院長の許可」があれば受験できます。
昇格考試では、少林寺拳法の「教え」「技法の修養度」「行動や態度」を含めて総合的な審査が行われますが、他の武道にように勝負の勝ち負けによる審査ではありません。
一定の基準で厳格に審査が行われる絶対評価となります。
ここが、他の武道との大きな差異であり、少林寺拳法の拳士にふさわしい修行を行うことで昇級・昇段が可能です。
気の弱い人や勝負事が苦手な人でも正しく評価されるのが、少林寺拳法の特徴といえます。これは、教育方法や評価方法がきちんと管理されているからです。
黒帯(初段)取得のための必要条件
少林寺拳法では、初段への昇段は一級までの総まとめ的な位置づけとなるため、正しく修行していればほぼ取得できるといえます。
ただし、正しく修行するのと同時に技への理解度や初段拳士になるための心得が必要です。
黒帯取得の必要条件は以下となります。
- 基本ができていること(「構え」「突き」「蹴り」「受け」「運歩」「残心」など)
- 技を理解していること(例えば、天地拳第一系の一連の動作を言葉で言える、書けるなど)
- 少林寺拳法の教えを理解し守っていること(「拳禅一如」「組手主体」「自他享楽」など)
- 試験に合格すること(「レポート提出)「学科試験」「実技試験」など」
少林寺拳法で黒帯を取るための昇格考試
少林寺拳法の昇段考試は、以下の3つで審査が行われます。全て、クリアする必要があるため、しっかりと修行と勉強が必要です。
- 宿題(レポート)提出
- 学科試験
- 実技試験
それぞれについて解説します。
宿題(レポート)提出について
「本当の強さとは何か」「⾦剛禅の教義とは」「⼊⾨の動機と現在の⼼境」について、それぞれ指定の仕様でまとめ、事前に提出します。テーマについては、変更される可能性もあるため、道院長に聞いてください。
学科試験について
学科試験は、SHORINJI KEMPO UNITYより指定されたテーマ(少年部は3題、一般は4題)について出題されます。
基本的には空欄に適切な文章を記入したり、選択肢から選んだりするものが多いですが、簡潔にまとめを書くものもあります。
少林寺拳法の教えを理解し、普段から実践していれば難しくないでしょう。
実技試験について
実技試験は、基本の動作や技(「運歩法」「単独演武」「相対演武」「組演武」など)の熟練度を審査する試験です。
フェイスガードやファールカップ(男性のみ)、胴、拳サポーターなどの持参が必要なので忘れないようにしましょう。
コロナの影響で、組手で行う「相対演武」「運用法」の実施はフェイスガードやヘッドガードの着用が必須となります。
少林寺拳法で黒帯を取るためのポイント
基本的には、少林寺拳法の教えと技を正しく理解し、拳士としてのふるまいができていれば大丈夫です。
少林寺拳法で黒帯を取るためのポイントは、以下となります。
- 心構え
- 相方や師範とのコミュニケーション
- 少林寺拳法の教えについての理解
- 少林寺拳法の技についての理解
それぞれ簡単に解説するので参考にしてください。
心構え
少林寺拳法の初段の印可※を得るには、拳士としてのふるまいが大切です。
※印可とは、禅宗や武道で悟りや極意を得た証(免許)のこと
相方や師範とのコミュニケーション
少林寺拳法の修行は二人一組で行う組手を主体にしているため、相方とのコミュニケーションを大切にしなければ技は上達しません。
また、師範の教えを素直に聞いて自分を律することが必要です。
少林寺拳法の教えについての理解
少林寺拳法の基本は「拳禅一如」です。「少林寺拳法は、修行を通して技と心を磨き、世の中で活躍するための人づくりの行である」ことを正しく理解する必要があります。
「本当の強さとは何なのか」という問いは常に自問自答しましょう。
学科試験やレポートに必ず出ます!
少林寺拳法については、関連コラム「少林寺拳法とは?あなたの疑問に有段者の元拳士が分かりやすく解説します!」をご覧ください。
少林寺拳法の技についての理解
少林寺拳法の技の修行では、一つ一つの動作を理解しながら覚えていきます。しかし、言葉で文章に書き起こすのは難しいです。
ただ、技は出来ても動作を書けないような理解度では、審査を通過できない恐れがあるため、しっかりと理解しましょう。
レポートや学科試験にも出るため、必要な技だけでも書けるようにしてくださいね。
少林寺拳法で黒帯を取り人格者になろう
少林寺拳法の修行は「人づくりの行」であることは、これまで他のコラムでも何度かお伝えしてきました。
「自分だけでなく他人のことも考えよう」とする「半ばは自分の幸せを、半ばは他人の幸せを!」という初代宗道臣氏の言葉を噛みしめて、本当に人の役に立つ人間になりましょう。
これが少林寺拳法の拳士の目指すところです。
「自他享楽」という同様の教えもありますが、自分も他人も楽しく過ごせる社会を作れれば、良いですよね。
自分勝手が暴走して、「カスハラ」「アカハラ」「セクハラ」など人格を疑うような人が増えている時代では、自分自身が強い柱にならなければ折れてしまします。
少林寺拳法を学ぶことは、自分や周りを幸せにする第一歩になるでしょう。
近くの少林寺拳法の道場は、武道道場ナビで検索できるので、ぜひ探してみてください。