武道を始めたいと考える人は、
「どの武術を選べばいいのだろう?」
「少林寺拳法と空手はよく似ているけど、どんな違いがあるのだろう?」
などの疑問を持つでしょう。
この記事では、「少林寺拳法と空手の違い」や「少林寺拳法と空手を習うことによって得られるメリット」について詳しく解説します。
少林寺拳法と空手のどちらを習うか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
なお、道場を探すなら「武道・道場ナビ」で便利に検索できます。
この記事を書いた人
少林寺拳法弐段の有段者。
武道の疑問を解決する記事を書くので、ぜひ参考にしてください。
なお、武道だけでなく、旅行や納豆の記事も執筆中。
個人ブログ『納豆ジーン』はこちら
少林寺拳法や空手の解説と習うメリット
以下に、少林寺拳法と空手について簡単にまとめますので、それぞれの武道の特徴をつかんでください。実はかなり違いがあるので驚かれると思います。
また、少林寺拳法や空手を習うことで得られるメリットについても詳しく解説しますので、参考にしてください。
少林寺拳法とは?
少林寺拳法とは、宗道臣(そう どうしん)氏が日本で創始した独自の武術です。宗氏は中国で、嵩山少林寺の流れをくむ北少林義和拳に入門し、ついに義和門拳の第21代正統継承者となりました。宗氏は戦後の日本の荒廃を見て、「平和で物心共に豊かな社会をつくりたい」という一心で、1947(昭和22)年に香川県多度津町で「少林寺拳法」を創始したのが始まりです。
少林寺拳法とは、「平和で物心共に豊かな社会」をつくることを目的とした拳法であり、「人づくりの行」といえます。決して拳技だけを修得するための武術ではありません。
「健全な身体と心を養い」「他人と助け合い」「社会に役立つ人づくり」を成し遂げ、「幸せに生きる」ための修行を行うのが少林寺拳法の理念です。
空手とは?
空手は、琉球王朝時代の沖縄で士族が学んだ護身術がルーツだとされています(諸説あり)。この護身術が「手(「てい」または「テー」)」と呼ばれる沖縄古来の武術となり、中国武術と融合して、現在の空手が生まれたのです。
その後、様々な流派が生まれ、1920年代に日本全国へ、第二次世界大戦後には世界へ広まり、現在は150以上の国に愛好家がいるそうです。
現在の空手は「スポーツ」「精神修養」「護身術」などの手段として世界へ広まり、オリンピック種目になるほど競技性が高い武道となっています。
現在の空手の流派数は大小合わせて100以上あり、独自の活動をしていますが、統一ルールで競技を行う必要があるため、全日本空手道連盟や世界空手連盟が結成されました。
少林寺拳法や空手を習うメリット
前記した通り、少林寺拳法も空手も「拳技修得」「精神修養」を目的としています。つまり、基本は同じです。拳技だけを修得するのではなく、心のあり方も修行で磨きます。
そのため、「正しい姿勢」「礼儀作法」「他者への気配り」などを修得できるのです。
拳技を修得するには、型の練習や姿勢など肉体的な鍛錬が必要であり、「正しい姿勢を保つこと」に繋がります。
「あいさつ」や「相手に敬意を払うこと」などを通じて精神面を鍛えることができ、「礼儀作法」「他者への気配り」につながります。
これらは、健康的な毎日を過ごすためにも、社会生活を円滑に営むためにも必要不可欠です。少林寺拳法や空手などの武術を習うことで、このようなメリットを得られます。
ぜひ、武道に挑戦してみましょう。
道場を探すなら「武道・道場ナビ」が便利です。
少林寺拳法と空手の違い
それでは、いったい、少林寺拳法と空手では何が違うのでしょうか?実は、少林寺拳法と空手では大きく3つの観点で違いがあります。それは、「ルーツや多様性の違い」「目的や教えの違い」「競技性の違い」です。それぞれについて、以下に詳細に解説します。
ルーツや多様性の違い
上記したとおり、少林寺拳法は宗氏が「人づくり」を目指して、日本で創始した新しい武術で、ルーツが明確です。一方、空手は、古来より沖縄で受け継がれてきた護身術というところまでしかルーツは分かりません。
どちらも護身術を基本にしているところは同じですが、空手は歴史が古く、詳細なルーツがはっきりしないのでしょう。
また、少林寺拳法は、宗氏が中国武術や日本の古武術をもとにして体系化された武術であるため、流派はありません。あくまでも、少林寺拳法は唯一無二の教育システムを用いて、世界中で同じ教え、同じ技、同じ型を学ぶことができます。
空手は大きく「伝統空手」と「実戦空手」の2つに分けられますが、アレンジによって百を越える流派が生まれた多様性のある武術です。
目的や教えの違い
少林寺拳法と空手には目的や教えが大きく異なります。少林寺拳法の最大の目的は、「世の中を平和にするためのリーダーを作ること」です。現代風に訳すと「修行により自己を確立し、他者を生かして社会に貢献できるような人になること」を目指します。ただし、道徳ばかりでは自分の身や他人を守れないため、護身術としての拳法を身に付けることも重要な目的の1つです。なお、少林寺拳法には試合はありません。
一方、空手の目的は「日々の心身の練磨を通じて強靭な身体を鍛え、人格を陶冶し、心身ともに有為な人物を育成すること」とされています。
ただ、空手では、特に礼儀作法を重んじますが、流派の型を極め、強くなり試合で勝つことが大きな目的です。
つまり、少林寺拳法も空手も「道徳を重んじること」「技を身に付けること」は同じですが、試合で勝負して優劣を競うかどうかの点で大きく異なります。
競技性の違い
上記したとおり、少林寺拳法は勝敗や優劣を競いません。あくまでも精神や自己研鑽が目的であるため試合は不要で、競技性はないのです。
ただ、大会で、2人1組で技を披露したり、団体で型を披露したりする「演武(えんぶ)」という行事で技の正確性を審査する場はあります。
一方、空手は試合で勝敗を決める武術です。試合には、鍛錬した技を披露する「型試合」、2人の選手が試合をする「組手試合」の2種類があります。「型試合」は技の正確性やスピード、バランスなどで審査され、「組手試合」は「突き」「打ち」「蹴り」を当てた有効性によって審査され、優劣が決まるのです。
このように、それぞれの目的の違いから、競技性の違いが生まれています。
少林寺拳法と空手、習うならどっち?
この記事では、少林寺拳法と空手の違いについて詳細に解説しました。
少林寺拳法と空手を習うなら、どちらがよいかについては、人それぞれだと思います。
それは、「どちらが自分の性格に合っているか」によるからです。空手の組手はどうしても殴り合いになるため、ケガをしたくない人や相手にケガを追わせたくない人には、護身術を学ぶ少林寺拳法をおすすめします。
しかし、負けず嫌いで「強くなりたい」という気持ちが強い人は、空手を習う方が向いているかもしれません。
どちらが優れているという訳ではなく、自分に合うかどうかで選びましょう。武道をやると本当に心が鍛えられますよ。
まずは、近くの道場を「武道・道場ナビ」で検索してみてはいかがでしょうか?
自分に合う武道や道場が見つかるかもしれませんよ。