「柔道に興味があるけどどういうルールなの?」
「今の試合どっちが勝ったの?」
「柔道をやっている子どもにアドバイスしたいけどルールがわからない」
「一本と技ありってなにが違うの?」
柔道の試合ではいろんな言葉が出てきて、戸惑ってしまいますよね。
私も柔道の試合を初めて見た時は全く理解ができませんでした。
ですが、そんな私でも基本のルールを覚えたら、試合を観戦するのが好きになりました。そして実際に柔道を習い始め、社会人になった今でも続けています。
気がつけば、公認審判員の資格も取得するくらい柔道が好きになっていました。
そのくらい柔道は魅力のある競技だと私は思っています。
柔道の基本ルールを覚えることで、試合の流れ、勝敗の付け方が分かり試合をより楽しく見ることができることでしょう。
この記事では、公認審判員の資格を持っている私が誰でもわかるように、柔道の基本ルールについて解説していきます。
この記事を書いた人
柔道歴10年。
弐段の有段者。
公認審判員ライセンス、公認指導員の資格保持者。
現役で柔道をやりながら、試合の審判員などもやっています。
そもそも柔道ってどんなスポーツ?
1対1の格闘技
柔道は、畳の上で選手が1対1で試合をする格闘技です。
一般的な試合場は、緑の畳の周りを赤い畳で囲ってある場合が多くなっています。
- 緑の畳から赤い畳までの範囲が「場外」
- 赤い畳から外側が「場内」 と呼ばれています。
団体戦・個人戦がある
試合に出場する方法として、団体戦と個人戦の2種類があります。
- 団体戦は所属の柔道教室や学校のメンバーでチームを組み出場
- 個人戦は自分の体重に合った階級で出場
男子 | 60Kg級 | 66Kg級 | 73Kg級 | 81Kg級 | 90Kg級 | 100Kg_級 | 100Kg超級 |
女子 | 48Kg級 | 52Kg級 | 57Kg級 | 63Kg級 | 70Kg級 | 78Kg級 | 78Kg超級 |
階級別の個人戦に出場する場合、試合の前日か当日の朝に計量があることが多いです。
例えば、73Kg級で試合に出場するとしたら、66.0kg以上73.0kg未満の体重で、計量クリアになります。
階級別の試合に出るときの注意点として、過度な減量や増量はやめましょう。
中高生によく見られますが、過度な減量や増量はパフォーマンス低下に大きく影響します。
今まで練習してきた成果が十分に発揮できない可能性があるので、自分の体重に合った階級で試合に出ましょう。
私も学生時代、試合1週間前から無理に減量をして、試合で体が全然動かなくなった経験があります。
減量・増量する場合は、中・長期的な計画を立てて実行しましょう。
柔道の基本的なルールって?
試合時間は年齢によって違う
- 小学生は2分
- 中学生は3分
- 高校生以上は4分
試合時間内に勝敗がつかなかった場合、延長線(ゴールデンスコア)に入ります。
延長戦(ゴールデンスコア)に入ったら、先にポイントを取った選手が勝ちです。
試合の決まり方は大きく分けて3種類
試合の決まり方は大きく分けて、以下の3種類です。
- 一本
- 技あり
- 反則
上記の試合の決まり方を詳しく解説していきます。
一つ目は「一本」
相手から一本をとる方法は、投げ技と寝技があります。
投げ技で一本をとるには、必要な4つの条件を満たさないといけません。
- 相手を制していること
- 相手の背中が畳についていること
- 投げに強さがあること
- 投げが速いこと
この条件を全て満たしていれば「一本」となります。
わかりやすくいうと、相手を投げた時に相手の袖や襟をしっかり掴んでいて、勢いよく相手の背中全体を畳につかすことができれば「一本」です。
寝技での一本の条件は2つあります。
- 相手を20秒以上抑え込む
- 絞め技・関節技で相手が参ったをする(タップするともいう)
参った(タップ)は、絞め技や関節技をかけられた時に、動かせる手を使って畳を2〜3回叩くのが一般的です。小中学生の絞め技と関節技は反則行為になります。
投げ技で相手を投げた時、「やー!」と声を出して審判にアピールすることも試合に勝つための大事な要素です。私も実際に、一本か技ありかの際どい場面で声を出して、一本になった試合を何回も見てきました。
声を出すことで迫力が出るため、しっかりと投げているという印象が審判につきます。
最近、際どい場面はビデオ判定で決める試合が多くなってきましたが、地方大会などではまだ導入されていないこともあります。なので、日頃の練習から、投げる時には声を出すのを意識することが大切です。
二つ目は「技あり」
投げ技の場合、一本の条件には満たないが相手の背中が畳についていれば「技あり」の判定になります。
寝技の場合、「10秒以上20秒未満」抑え込んだら「技あり」の判定になりますが、10秒未満で相手に逃げられたら「技あり」にはなりません。
「技あり」を2回とると「合わせて一本」の判定になります。
三つ目は反則
反則には「軽微反則」「重大反則」の2種類があります。
- 「軽微反則」は、3回受けると反則負け
- 「重大反則」は、1回受けると反則負け
試合でよく見られる軽微反則と重大反則の例をいくつか紹介します。
「軽微反則」の例
- 相手となかなか組み合おうとしない(消極的な姿勢)
- 相手をわざと場外に押し出そうとする
- 全く技をかけようとしない
- 待ての合図がかかった時に乱れた道着を直さない
最近は乱れた道着を直さない行為にかなり厳しくなってきていて、「指導」が与えられるのが早くなっています。「指導」を3回受けると反則負けになるので注意しましょう。
「重大反則」の例
- 技をかけた時に頭から畳に突っ込む
- 立ち技で組んでいるときに相手の下半身をつかむ
- 相手を故意に傷つけたり、侮辱したりする
- 審判の指示従わない
- 指輪やネックレスなどを身につけたまま試合に出る
重大反則は、自分や相手を危険にさらしたり、相手に対して尊重や敬意のない行為です。最近増えてきた重大反則は、スマホを道着に入れたまま試合に出る反則です。
高校生以上の試合で見ることが多いので注意しましょう。
柔道を楽しもう
柔道は「一生の財産」と言われるように、子どもから大人まで幅広い年齢の方が楽しむことができる競技です。
柔道はとても激しく危険性の高い競技だと思われがちですが、試合に勝つためにきつい練習をすることだけが柔道ではありません。試合に勝ちたいと思うのなら必要な練習をすれば良く、柔道を楽しみたいと思えば自分が楽しいと思えるようなやり方で取り組めばいいと思います。
また、柔道教室は子供だけでなく、社会人向けの柔道教室もあります。子どもの習い事として柔道をやることで、礼儀・礼節が身につきます。実際に子供が柔道を始めてから、他人にお礼が言えるようになったなどの話も聞いたことがあるほどです。柔道を通して、人を思いやる気持ち、感謝の気持ちなどを養うことができます。
その他、社会人向けの柔道教室もあり、社会人になってから柔道教室に通う方も増えてきています。実際に、50代・60代の方が新たな趣味として、柔道教室に通い始めるケースも珍しくありません。
柔道教室に通うことで、趣味ができる、体力がつく、日常に活気が出る、新たな出会いがあるなどたくさんのメリットがあります。
まとめ
本記事では、柔道の基本的なルールを解説しました。
思っていた以上に柔道のルールはシンプルだと思った方もいるのではないでしょうか。
本記事で解説したルールが理解できたことで、今まで以上に柔道の試合がおもしろく感じると思います。
また、柔道は幅広い年齢の方が楽しむことができる競技なので、興味がある方は一度近くの柔道教室へ見学に行ってみてください。