剣道で身につくことや学べること10選!子どもの習い事におすすめ

お子さんの習い事として、剣道を検討している保護者の方が気になるのは「剣道でどのようなことが身につくのか」ではないでしょうか。

剣道は戦後にスポーツとして取り組まれるようになりましたが、基本的には武道です。武道であるため勝敗だけでなく、人として大事なことが身につきます。本記事では、剣道で身につくことや剣道を通じて学べることを厳選して10個紹介します。

剣道に取り組むことで、人として大きく成長できるでしょう。身についたことは、社会に出てからもさまざまな場面で活かせます。ぜひ記事をご覧になり、習い事の選択肢として剣道を検討してみてください。

この記事を書いた人

野川正人

・剣道歴39年
・剣道 錬士七段
一般企業の会社員をしながら、地元中学校の剣道部外部指導員・少年団の指導者として日々活動中。自身の稽古にも継続して取り組んでいる。
剣道の疑問を小中学生や初心者の人にもわかりやすく伝えようとメルマガ、note、ブログにて発信。
2021年に著書「28回も不合格でしたが、なにか?」を執筆し、Amazonにて発売中。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0BSBB8SJ2

剣道で身につくこと10選

剣道で身につくことは多くありますが、ここでは厳選した下記の10個を紹介します。

  1. 礼節が身につく
  2. 忍耐力が身につく
  3. 正しい姿勢が身につく
  4. 瞬発力と持久力が身につく
  5. 旺盛な気力が養われる
  6. 身体が丈夫になる
  7. 集中力や判断力、決断力などが磨かれ人間力が向上する
  8. 日本の伝統文化を学べる
  9. 共に切磋琢磨する仲間が見つかる
  10. 生涯にわたり剣道を続けることができる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

礼節が身につく

剣道は「礼に始まり、礼に終わる」と言われるように、礼節についてはほかの競技よりも厳しく指導されます。じつは、剣道を学ぶ際に最初に教わるのは、竹刀の振り方や足さばきではなく礼の方法です。そのため、剣道に取り組むことで、いつの間にか自然と礼節が身につきます。

たとえば、道場に入る際や道場から出る際には必ず道場に対して礼をしなければなりません。もちろん、剣道場や武道場でなく、体育館でも同様です。小学校の校長先生が、剣道をしている子どもの何気ない所作に気がついて驚いたという話も聞きました。

礼の方法は3種類あり、それぞれの意味や使い分けについても学びます。詳細は下記の「礼儀」に関する記事をご確認ください。

忍耐力が身につく

剣道の稽古は楽しいことばかりではありません。とくに「懸かり稽古」や「打ち込み稽古」「切り返し」は、無酸素運動で運動量が多く心肺機能に負担をかける稽古内容です。忍耐力が身につかなければ続けられません。

さらに、剣道はほかの競技以上に季節を肌で感じます。近年は冷暖房完備の施設が増えていますが、それでも夏は暑く、冬は寒いのが一般的です。厳しい道場になると、令和になった今でも暑中稽古や寒稽古が開催されています。

とくに厳しいのは冬の寒稽古です。冷たい床の上を裸足になって稽古しなければなりません。足の裏の感覚は冷たいというより、寧ろ痛いと表現した方が適切です。

このような厳しい稽古に耐えることで、忍耐力が身につきます。学校生活や社会での苦しい出来事も、剣道で培った忍耐力で乗り切れるでしょう。

正しい姿勢が身につく

剣道はさまざまな場面での姿勢が重要です。たとえば、剣道の「試合審判規則」には有効打突について「適正な姿勢で」との記載があります。したがって、どれだけ上手く相手を打てたとしても、正しい姿勢でなければ試合では勝てません。

また、剣道では打突時の姿勢だけでなく、打突前の構えも重要です。剣道では立ち姿を見れば、おおよその実力がわかります。なかには「構えは良いのに残念……」ということもありますが、構えと実力が比例するのが通常です。

もっとも大きな要因は、相手を見るときの目付(めつけ)にあります。剣道では、「一眼二足三胆四力」と言われ、相手をよく見なければならなりません。相手をよく見るには、自然体の正しい姿勢で構えることが重要です。

このように、剣道では構えや打突時の姿勢が重要なため、自然と正しい姿勢が身につきます。剣道から離れた際にも、歩行時には美しい姿勢になることは間違いありません。

瞬発力と持久力が身につく

剣道は一瞬で勝負がつく競技のため、瞬発力(敏捷性)が重要です。相手の一瞬の隙を打突するには、瞬発力を鍛えなければなりません。打突動作だけでなく、足さばきや体さばきの稽古をすることで瞬発力が鍛えられます。

また、剣道の稽古のなかには、無酸素運動で非常に激しく動かなければならないものも多いため、持久力も身につきます。持久力で重要となるのが、心肺機能です。じつは、心臓は筋肉でできているため、鍛えれば強く大きくなります。剣道愛好家には「スポーツ心臓」を持っている人が多いのも頷けるのではないでしょうか。

また、持久力と大きく関係するのが、呼吸です。剣道では呼吸法も身につきます。

旺盛な気力が養われる

剣道は気・剣・体の一致が求められるため、体だけでなく気持ちが重要になります。剣道の「試合審判規則」で、有効打突の条件として最初に記載されている項目が「充実した気勢」です。つまり、剣道の試合や昇段審査のためには、日々の稽古で旺盛な気力を養うように取り組まなければなりません。

旺盛な気力を養うためには、大きな声を出すことが重要です。大きな声を出すことで気力がみなぎり、自分よりも強い相手に立ち向かっていく気力が養われます。

初心者のうちは気力とはどのようなものかわからないかもしれません。一方で、正しい指導を受け、日々の稽古に取り組むことで自然と旺盛な気力が養われます。旺盛な気力は、剣道以外の社会生活においても役立つでしょう。

身体が丈夫になる

剣道は有酸素運動と無酸素運動の両方の側面があるため、前述したとおり心肺機能や筋力が鍛えられます。また、多くの研究で、裸足での稽古が血流を増加させる反応が認められている点も見逃せません。(参考:足底へのマッサージが生体に及ぼす影響

裸足での稽古が及ぼす影響は血流増加反応だけでなく、土踏まず形成にも良いとされています。(参考:はだし教育の効果について

加えて、剣道は全身運動です。したがって、身体全体をバランスよく使うことができます。また、稽古や試合では頻繁に体当たりを行うため、体幹を強くする効果にも注目すべきです。ただし、正しい体当たりを身につけなければ、腰を痛める可能性があるため注意しなければなりません。

このように、剣道に取り組むことで身体は丈夫になります。

集中力や判断力、決断力などが磨かれ人間力が向上する

剣道は高い集中力が求められます。試合は自分ひとりですべて判断して行動しなければなりません。とくに実力が拮抗した試合になると、集中力の欠如からなるほんの少しの迷いが勝敗を喫します。集中して稽古に取り組まなければ怪我をしたり、相手に怪我をさせたりする危険性もあるため、注意が必要です。

また、試合では自分から仕掛けなければ「時間の空費」で反則を取られることもあるため、積極的な試合態度が求められます。したがって、試合や昇段審査では積極的に相手に働き掛け、相手の反応に対して的確な判断をしなければなりません。

小さなお子さんに集中力や判断力を求めることは難しと思われる人もいらっしゃるでしょう。しかし、小さなお子さんも、実際に面を着けると意外と集中して稽古に取り組めるものです。

上記のような理由により、剣道に取り組むことで積極性とともに集中力や判断力が養われ、人間力が向上します。

日本の伝統文化を学べる

剣道は日本の伝統文化の一つです。しかも、近年は海外での剣道に対する人気が高くなっています。日本国内においても、インバウンド向けの剣道体験も人気です。よって、外国人に日本文化を紹介する際にも剣道は役に立ちます。

外国人に日本文化を紹介するには、文化や歴史を学ばなければなりません。じつは、剣道に取り組むことで、剣道の歴史と刀の成り立ちや文化を学べます。

文武両道と言われるように、剣道だけでなく歴史や文化も積極的に学びましょう。そのような姿勢が身につくのも剣道の良いところです。

共に切磋琢磨する仲間が見つかる

剣道はときに厳しい稽古もありますが、仲間がいることで乗り切れることもあります。辛いときに支え合うのは、共に辛い稽古に取り組んだ仲間です。共に厳しい稽古に耐えた仲間は、生涯の友となりえるでしょう。

厳しい稽古に耐えた仲間を通じ、チームワークや友情、感謝の気持ちなどを学べます。全日本剣道連盟では、剣道の「竹刀」と「剣」について、「竹刀は相手に向ける剣であると同時に自分に向けられた剣でもある」と解説しているように、稽古を通じて相手を敬い礼儀を重んじられるのも剣道の良いところです。

生涯にわたり剣道を続けることができる

剣道をしていると、よく耳にする言葉が「生涯剣道」です。剣道は習い事や部活動のイメージが強く、小学生から高校生までがメインと思われがちですが、実際は社会人で剣道を続けている人も多くいらっしゃいます。

剣道は何歳からでも始められるだけでなく、何歳になっても続けられるのが大きな特徴です。生涯現役として続けられる武道やスポーツは、剣道以外にはほとんど無いでしょう。

一方で剣道は体力が衰えても経験と知識により若い人とも対等に競技できます。年配の先生が若い世代と稽古している姿を見た海外の人からは驚きの声が上がるほどです。実際、「剣道あるある」では「年寄りが強い」と言われるほど、70代や80代の方々が強くて驚かされます。

なかには60歳、70歳を超えてから剣道を始めた人や、100歳を超えても元気に稽古を続けている方々も増えてきました。下記は101歳で稽古されている太田範士の動画です。

剣道は生涯を通じて取り組め、いつまでも成長できる武道です。高齢になっても剣道を続けていれば、さまざまなものを身につけられます。

まとめ~剣道を正しく学び人として成長しよう~

本記事では、剣道で身につくことについて詳しく紹介しました。剣道に限らず、一つのことを続けることで多くのことを学び、身につけられます。剣道においては、心身共に多くのことが身につくだけでなく、年齢を重ねて体力が衰えても技術力でカバーできるので、何歳からでもおすすめできる武道です。

剣道あるあるでは「年寄りが最強」と言われるとおり、年齢を重ねても若い人と対等に渡り合える競技はほかに類を見ません。剣道に取り組むことで多くのことを身につけ、人としても大きく成長できます。

また、剣道を始めとする日本発祥の武道に取り組むことで、日本人として大切なものや忘れた心を取り戻すことにもつながるでしょう。お子さんの習い事として検討される際には、近くの剣道場を見学に訪れることをおすすめします。お住まいの近くにある剣道道場は、下記のボタンから検索してください。

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