剣道に興味がある人から、下記のような相談を受けることがあります。
- 剣道を始めようと思ったけど、ルールがわからない
- 剣道はルールが複雑そうで、できるかどうかわからない
ルールがわからないことがネックとなり、最後の一歩が踏み出せないそうです。しかも、剣道のルールをインターネットで調べても、専門用語を用いて説明されているため、よくわかりません。
そこで本記事では、剣道のルールをどこよりもわかりやすく簡単に解説しました。
剣道のルールがわかれば、剣道がどのような競技で、日頃はどのように取り組めばよいのかもわかります。ぜひ、記事を最後まで読み、剣道を始めるきっかけにしてください。
この記事を書いた人
・剣道歴39年
・剣道 錬士七段
一般企業の会社員をしながら、地元中学校の剣道部外部指導員・少年団の指導者として日々活動中。自身の稽古にも継続して取り組んでいる。
剣道の疑問を小中学生や初心者の人にもわかりやすく伝えようとメルマガ、note、ブログにて発信。
2021年に著書「28回も不合格でしたが、なにか?」を執筆し、Amazonにて発売中。
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剣道の基本的なルールを簡単に解説
じつは、剣道の基本的なルールはとてもシンプル。基本的には3本勝負と決められているため、時間内に2本先取すれば勝ちです。
しかし、実際は全日本剣道連盟が定めた「試合審判規則」と「細則」に準じて試合や稽古が行なわれます。また、大会によっては中体連や高体連の申し合わせ事項があり、試合時間や禁止行為などが異なる場合があるため注意が必要です。近年は新型コロナが収束するまでの暫定的なルールも取り決められ、覚えなければならないルールが意外とたくさんあります。
剣道では「稽古は試合の如く、試合は稽古の如く」といわれ、日頃の稽古でも試合を意識して取り組まなければなりません。
上記の内容を詳しく解説すると、難解な文章になってしまいます。したがって初心者やこれから剣道を学ぼうと考える人は、最も基本的なルール「2本取れば勝ち」と覚えておけば良いでしょう。
ただし、それだけでは不十分な点もあるため、もう少し具体的に解説していきましょう。
試合時間は年齢や大会のルールによる
全日本剣道連盟の取り決めたルールでは、試合時間は5分と決められていますが、年齢や大会によって異なります。小学生の大会はおおむね2分、中学生3分、高校生4分という具合です。また、大会規模によって1分30秒の場合もあります。一般の試合においても、京都大会(全日本剣道演武大会)ではおおむね2分です。
大会ルールによって決められた時間内に勝敗が決しない場合、延長戦に入ったり引き分けになったります。また、ボクシングの判定のように3人の審判員による判定で勝敗が決る場合、じゃんけんで決める場合もあり、大会によってさまざまです。
日頃の稽古においては、試合形式以外は時間が決められていません。時間を決めて相手を交代する稽古方法もありますが、ルールとして決められておらず、道場や指導者によって決められているものです。
剣道の基本ルールは3本勝負
ほとんどの剣道の大会で採用されているルールは、3本勝負の試合形式です。しかし、中には1本勝負の場合や、前述したような審判員の判定で決まる試合形式もあります。また、制限時間内に一方が1本を取得し、もう一方が1本を取得していない場合には1本を取得している方の勝ちです。
ところで、1本、3本はどのように決まるのでしょうか。じつは、剣道では有効打突のことを1本といいます。有効打突を2回打てば試合に勝てます。ただし、1本は有効打突だけとは限りません。
1本を取得するには、有効打突を打つ方法と相手が反則(禁止行為)を2回行なう場合があります。ただし、薬物の使用や不正な道具の使用などの特殊な禁止行為は1回で負けとなるルールです。
剣道は試合だけではなく、日頃の稽古でも有効打突を追い求める必要があります。それでは、有効打突とはどのようなものでしょうか。
剣道のルール上での一本とは?有効打突の条件を知ろう
有効打突についても、剣道のルールで詳しく決められています。有効打突に必要な条件としては、下記の4つです。
- 充実した気勢
- 適正な姿勢
- 竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突する
- 残心が必要
もう少し具体的に解説しましょう。
剣道は声も大事!気剣体の一致した打突とは
剣道は竹刀が決められた場所に当たっただけでは有効打突にはなりません。気剣体の一致が求められます。気剣体の一致とは、気持ち(心・気迫)と竹刀(刀)と体(適正な姿勢)が同時に打突姿勢になっていなければならないというものです。
また、気剣体が一致し、面・小手・胴・突きの打突部位に竹刀が当たっているにもかかわらず一本と認められない場合もあります。竹刀は刀の代わりであるという考えがあり、刀によって斬れることが重要です。したがって、刃の方向と力を入れる方向が一致した「刃筋正しい打突」でなければなりません。
さらに、ルールに記載されている「残心」も必要です。
残心って何?
剣道のルールでは打っただけ、当たっただけでは一本として認められません。剣道の有効打突には残心が必要です。残心とは、打突した後にも油断しない心構えのことをいいます。相手を斬ったあと、反撃してくるかもしれません。反撃されたときに備える心が残心です。
ただし、試合では形に表される残心がなくても一本と認められることもあり、そのあたりは経験を積まなければわからないかもしれません。日本は余韻の文化といわれるように、日常生活においても残心は大事です。
剣道の禁止行為に関するルール
剣道では禁止行為としてルールに明記されているものがあります。禁止行為には多くの種類があり、長く剣道を続けている人でも全てを把握することが難しい状況です。その中でも頻度の高い禁止行為である下記の2種類について紹介します。
- 場外反則
- 鍔迫り合いに関する反則
上記の禁止行為は2回行なうと相手の1本となるため、注意が必要です。上記の禁止行為について、もう少し詳しく解説しましょう。
場外反則と鍔迫り合いのルールには要注意
剣道の試合は9m~11mの四角形の試合場で行なわれますが、基本的に試合場から外に出れば反則となります。ただし、無理な押し出しの場合は、押した側の反則となるので注意が必要です。また、審判員によって危険と判断された場合には、どちらにも反則を取らない場合もあります。
鍔迫り合いはお互いの鍔を合わせた状態のことですが、正しい鍔迫り合いになっていない場合は反則です。また、打突の意志がなく、時間を浪費するだけの鍔迫り合いも反則となります。さらに、近年は新型コロナにより鍔迫り合いのルールが厳しくなりました。
2024年現在、鍔迫り合いの状況が3秒程度続いた場合には、お互いに間合いを切らなければなりません。3秒以内に打突を行なわず、間合いも切らない場合は公正を害する行為となります。
場外反則、鍔迫り合いに関する反則は2回行なうと相手の1本です。つまり、4回行なうと、自動的に2本取得された状況で負けになります。
その他の禁止行為
剣道のルールには、その他に下記のような禁止行為があります。
- 竹刀や道具に関する反則
- 薬物の使用
- 非礼な言動
上記の中でも注意しなければならない禁止行為が竹刀の規定に関する反則です。中学生以上が使用する竹刀は長さと重さが決められています。大きな大会では竹刀検量があり、検量に合格した竹刀しか使用できません。特に竹刀の重量については、軽いものやバランスが良く振りやすいものを求めるあまり、規定ギリギリを狙う傾向があります。
竹刀は竹でできているため、乾燥により重量が足りなくなるかもしれません。最悪な状況として、試合に出場できない場合もあります。
また、薬物の使用や非礼な言動が認められた場合は、その場で負けの宣告を受けます。薬物の使用は周りで見たことがありません。しかし、非礼な言動については可能性があるので注意してください。剣道は相手がなければ稽古も試合もできまないので、相手を敬う必要があります。
剣道は礼に始まり、礼に終わるといわれるように、全てのルールは礼儀作法を元に決められていると言っても過言ではないでしょう。
剣道はルールが厳しいため安全に楽しめる
剣道の基本的なルールはそれほど難しいものではありません。しかし、一つ一つを見ていくと、かなり細かく決められており、ルールが厳しいと感じます。剣道のルールが厳しくなった理由は、競技を安全に楽しむためです。
基本的なルールは、時間内に有効打突を取るだけの単純なものとなっています。難しく考えずに体験してみてはいかがでしょうか。
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