少林寺拳法は、宗道臣氏が戦後に香川県多度津市で始めた人を育てる拳法です。多彩の技を連携して繰り出すことで相手の動きを封じることができるため、護身術としても人気を博します。
しかし、少林寺拳法をあまり知らない人にとっては、「技の一つである剛法とはなんだろう?」「剛法とはどういうことをするんだろう?」など疑問に思われることでしょう。
このコラムでは、少林寺拳法の技の一つ「剛法」の基本とその応用について少林寺拳法の有段者が徹底解説します。
少林寺拳法に興味がある人、剛法とは何かを知りたい人はぜひ参考にしてください。
なお、「武道・道場ナビ」では近くの道場を検索することもできますので、興味がある人はぜひ探してみてくださいね。
この記事を書いた人
少林寺拳法弐段の有段者。
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少林寺拳法の技【剛法】について
少林寺拳法の技は、「剛法」「柔法」「整法」の3つの体系に分けられます。
このうち、「剛法」は、「突き」「蹴り」「打ち」「切り」など攻撃系の技と「受け」「かわし」「流し」「はじき」などの防御系を主体とするものです。
相手からの突きや蹴りの攻撃に対して、防御しつつ反撃を行う技法と考えてください。
例えば、以下のような技があります。
・相手の上段突きを体さばきでかわしながら、反撃の蹴りを急所である水月(すいげつ、みぞおちのこと)にきめる「流水蹴り(りゅうすいげり)」
・相手の上段突きを内受けで受け流して反撃の突きを脇腹の急所である横三枚(よこさんまい)にきめる「内受け突き」
少林寺拳法の技のひとつ【剛法】とは
上記したとおり、少林寺拳法の「剛法」とは、相手からの攻撃に対する防御と反撃を行う技です。
手刀や足を使った防御や反撃が主となるため、イメージとしては、空手に近い武術といえます。渾身の反撃が急所にきまれば相手は痛みで悶絶することでしょう。
少林寺拳法の技【剛法】の基本について
少林寺拳法の技である「剛法」の基本は、八方目(はっぽうもく)で周囲の動きを観察しながら、相手の攻撃の間合いや攻撃に対する適切な応答をすることです。
なお、八方目について知りたい方は、「少林寺拳法の技の基本と種類について有段者が徹底解説します!」をご覧ください。
相手の攻撃が、顔面を狙った上段突きなのか、手を振り上げて上から叩く手刀打ちなのかによっても受け流し方は変わります。
相手の攻撃に対して適切な防御動作ができれば、その後の相手を止める反撃をスムーズに行うことができるのです。
しかし、相手の攻撃に対して間違った防御をしてしまうと、反撃ができなかったり、さらなる攻撃にさらされたりと防戦一方となる恐れがあります。
反復練習をすることで、相手の攻撃に対する適切な応答が瞬時にできるようになるので、しっかり練習をすることが大切です。
少林寺拳法の技【剛法】の極意
少林寺拳法の技は、人間の生理学的な動きや関節の可動域などに基づいて理論的かつ体系的に構成されています。
特に剛法では、相手の攻撃をまともに受け止めるのではなく、うまく受け流すことが極意です。
また、相手の攻撃に合わせて適切に応答するコツ(体感覚)を身に付けることも必要になります。
つまり、剛法の極意は以下となります。
・相手の攻撃を見極める(カン=「読み」を磨く)
・相手の攻撃に合った体構え、体さばき、足運びを行う
・相手の攻撃に合った受け、流し、かわしを行う
・状況に応じた反撃を行う(逆突き、順突き、逆蹴りなど適切なもの)
上記を連動して瞬時にできるようにしましょう。
少林寺拳法の技【剛法】の重要性
少林寺拳法の剛法は、相手の攻撃をうまく受け流し、渾身の一撃で反撃して相手の動きを止める技です。
相手の攻撃を完全に受け止めない受け流しを修得することで、女性や身体の小さい人や力が弱い人でも使えるため、実戦では非常に重要となります。
まず、剛法で相手に蜂の一撃を行い、戦意や攻撃力を削ります。それでも攻撃してくる相手に対して、同じように対応すれば最後には相手を倒すことができるでしょう。
相手の攻撃力が弱まれば、反撃を連続して行う連反攻(れんはんこう)も可能になります。
少林寺拳法の技【剛法】の練習のポイント
少林寺拳法の剛法の練習ポイントは、まず型を覚えることです。体さばきと受け流し、運歩(うんぽ、足さばきのこと)、反撃および連反攻という一連の流れを型といいます。
基本である型を正しく覚えることで、瞬時に適切な対応が可能になるのです。
なぜこの動きをするのか? ポイントは何か?をしっかりと理解し、型として身体に覚えさせるのです。
急ぐ必要はありません。少しずつ、ゆっくり練習を繰り返しましょう。
まずは、ゆっくりの動作で、相手の攻撃の力をうまく受け流すための受けの角度、体さばきと足さばきを徐々に覚えることが大切です。
動きを正しく覚えて型に慣れたところで、2人1組での練習を始めるのがよいでしょう。
なお、基本が身についた大人の練習では、防具を付けての乱取りでカンやコツを身に付けるのもよいです。
少林寺拳法の技【剛法】と【柔法】の違い
少林寺拳法の技「剛法」では、相手の攻撃を受け流しつつ、突きや蹴りで反撃をして相手の動きを止めました。
一方、少林寺拳法の柔法ではどのような防御と反撃をするのでしょうか?
剛法を理解する上でも欠かせない、柔法について簡単に解説します。
柔法は、相手の力を利用して、相手を投げる、関節技をきめるという技です。
少林寺拳法の柔法も剛法と同じく、守主攻従(しゅしゅこうじゅう)が基本であり、相手の攻撃をかわしてから反撃するものです。
違うのは、相手の攻撃が突きや蹴りではなく、腕や襟などを掴んできた場合の対応となります。
例えば、腕を掴まれた場合、物理的に突きや蹴りでの反撃は強くできないため、対処の仕方を変える必要があります。そこで使う技が柔法なのです。
少林寺拳法の技は剛柔一体
少林寺拳法は相手の攻撃によって対応を変化させながら、反撃し、相手の動きを止めます。
そのため、剛法だけ柔法だけで応戦するものではなく、剛法で受け流したあとに柔法で関節をきめるという戦い方もあるのです。これが剛柔一体です。
例えば、相手が顔面を狙って上段突きをしてきた際、内受けで受け流して逆突きや逆蹴りで水月に反撃をしたとします。しかし、少し急所からずれたため、相手は胸ぐらを掴んできました。
このような場合は、胸ぐらを掴まれる前に外受けなどで受け流せれば問題はないのですが、掴まれてしまうと剛法では反撃しづらい状況です。
そこで、掴まれた直後に、目打ちで相手をひるませたあと、掴んできた相手の小指が斜め上になるように手首を返して相手の腕の上から肘をかぶせつつ手首をきめます。
この技は、相手の動作によって「方胸落(かたむなおとし)」「引胸落(ひきむなおとし」」などのバリエーションがあります。
少林寺拳法の技【剛法】の応用
少林寺拳法の剛法を学ぶ上で、大切なことは剛法の応用です。
基本動作は日々の修行において型を学ぶことで身につきますが、相手の動きや攻撃は一定ではありません。
状況に応じて変わるため、応用をきかせないと動きを止めることができません。
体さばきと運歩を適切に行い、相手の隙がある部位に反撃できるように、自分の得意な攻撃につなげられる応用動作を身に付けましょう。
少林寺拳法を始めてみよう
このコラムでは、少林寺拳法の技の一つである剛法を徹底解説しました。剛法は、相手の攻撃を受け流して突きや蹴りで反撃を行う基本技です。
少林寺拳法は力のない女性でも、相手の動きを止めることができる護身術として優れた武術でもあります。
詳しくは、関連記事「女性におすすめの護身術は少林寺拳法!元全日本チャンピオンが3つの理由を徹底解説」をご覧ください。
なお、少林寺拳法は心と身体を鍛える宗門の行です。自分の弱さを正し、自分や大切な人を守るための技を身に付けることで自信もつきます。
そのため、子どもから始めれば、しつけと道徳心を学べるため自己確立につながります。
大人から始める場合は、精神修養と身体を鍛えることで人として大切なことを学べ、自信を持って生きることができるでしょう。
少林寺拳法の修行は、人生のリスキングとしてもおすすめです。
少林寺拳法についてもっと知りたい方は、「少林寺拳法とは?あなたの疑問に有段者の元拳士が分かりやすく解説します!」をご覧ください。
興味を持たれた方は、ぜひ近くの道場を「武道・道場ナビ」で探してみてください。