古武道の種類と特徴を紹介!現代武道との違いも解説します

歴史ドラマなどで聞くだけでなく、健康維持にも活用できるという古武道。みなさんも古武道という言葉を聞いたことがあるでしょう。古武道は、現代武道の原型であり、武芸や武術などの総称です。

このコラムでは、古武道の種類と特徴および現代武道との違いについて解説します。ぜひ、参考にしてください。

この記事を書いた人

額田善之

少林寺拳法弐段の有段者。
武道の疑問を解決する記事を書くので、ぜひ参考にしてください。
なお、武道だけでなく、旅行や納豆の記事も執筆中。
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古武道とは?

古武道は、戦国の世を生き抜くための護身術から始まり、生き残るために敵を倒すという目的で様々な武術が生まれました。

例えば、剣を使うものであれば、剣術、薙刀術、抜刀術などが挙げられます。

現在、古武道とされているのは、いくつかの古武道団体の見解を要約すると「明治時代以前に成立した武芸や武術」を指します。

古武道は江戸時代に隆盛を誇り、剣術だけでも600以上の流派があったようです。しかし、古武道は基本的には一子相伝や秘伝であり、受け継がれていく中で減少しました。

日本古武道協会や日本古武道振興会、地方の古武道連盟などの尽力で、今も100程度の古武道の伝統が継承されています。

古武道は10種類

画像引用:神道夢想流杖道 愛杖会 名古屋道場

日本古武道協会によれば、古武道を体系的に大きく分類した場合、その他も含めて10種類とのことです。以下に、記載します。

  • 柔術:大東流合気柔術、竹内流柔術腰廻小具足など
  • 剣術:柳生新陰流兵法剣術、など
  • 居合術・抜刀術:関口流抜刀術、林崎夢想流居合術など
  • 槍術:尾張貫流槍術、佐分利流槍術など
  • 杖術・棒術:神道夢想流杖術、竹生島流棒術など
  • 薙刀術:天道流薙刀、楊心流薙刀術など
  • 空手・琉球古武術:琉球古武術、糸洲流空手など
  • 体術:柳生心眼流甲冑兵法など
  • 砲術:森重流砲術など
  • その他武術:荒木流拳法、小笠原流弓馬術、根岸流手裏剣術など

参考:日本古武道協会 各流派の紹介

柔術について

画像引用:一般社団法人天庸流柔術 伊丹稽古会

柔術とは、素手で「投げる」「打つ」「突く」「締める」などの技で、相手を倒すための武術です。相撲から発展してきたと考えられています。

最も古い柔術は、岡山で生まれた「竹内流柔術腰廻(こしのまわり)」と言われており、その起源は1532年です。

昔の合戦では、最初に弓での射合いがあり、刀で切り合い、最後に組み合って腰の短刀でとどめをさすのが一般的であり、その中で相手を投げ倒す技術が発達しました。

剣術について

小次郎と武蔵の像

その名のとおり、剣を使う技を発展させたものが剣術です。剣術は、弓矢による戦いから、打物(うちもの)と呼ばれる刀や薙刀による戦闘に移行してきた南北朝時代に体系化されました。

剣術は、国摩真人(くになずのまびと)が鹿島神宮から信託を受けて編み出した「鹿島の太刀」が始まりといわれています。

現在も「鹿島流」と名の付く剣術道場はいくつも残っており、長い歴史のある剣術です。

居合術|抜刀術について

居合のイメージ

居合術や抜刀術は剣術から発展してきた武術です。居合術も抜刀術も刀を鞘に納めた状態から、一瞬で抜刀し、相手を斬ったり刺したりして相手を倒す武術となります。

居合術も抜刀術も基本動作は同じであるため、広義では同じものです。

刀を抜いていないため、太刀筋を読まれないのですが、間合いが近くなるため危険性が高くなります。

そのため、初太刀ではなく、相手の太刀を受け流したあとの二の太刀の一撃で決めることが多い武術です。

槍術について

長宗我部元親像

槍術(そうじゅつ)は槍(長い柄に「穂」と呼ばれる刀剣を取り付けた武器)を操って、刀や薙刀を持つ敵を倒すための武術です。

槍は遠い間合いから突くことができるうえ、斬る、払うなどの多彩な攻撃が可能であるため、かつては最強の武器といわれました。

熊本藩主の加藤清正は槍の使い手として知られています。清正は十文字槍の使い手でしたが、これは片鎌槍(穂先の片側にだけ鎌がある)という種類の槍です。

また、四国統一を成し遂げた長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)の槍の名手で武名を広げました。

杖術|棒術について

その名のとおり、杖術(じょうじゅつ)は杖をつかった武術で、棒術は棒を使った武術です。杖術は棒術から発展しました。

棒術は、槍が折れた際、残った棒で相手を倒すために使われるなど、実践に即した武術として発展したものです。

なお、棒と杖は長さも太さも異なるため、持ち方や使い方は違いますが、基本的には護身用です。

棒術は江戸時代には犯罪者をとらえるためにも使われました。

薙刀術について

武蔵坊弁慶像

薙刀(なぎなた)は、棒の先に、反りのある刀剣を取り付けた武器です。槍に比べて斬る、打つという攻撃の威力が強いため、最強の武器といわれました。

武蔵坊弁慶は「岩融」(いわとおし)という大薙刀を愛用したことで有名ですね。

時代が進むにつれ、弓や騎馬戦よりも歩兵による集団戦が主となり、味方も傷つける薙刀は廃れていきました。

薙刀は江戸時代には武家の女子の護身術にもなり、現代でも女性の武道というイメージです。

空手・琉球古武術について

琉球古武術の武器「サイ」

空手と琉球古武術は一軸両輪の関係といわれています。どちらが欠けても前には進まない車の両輪に例えられます。

武器を使わない徒手空拳である空手と8種の武器を使う琉球古武術は琉球王国で秘伝とされており、流派により異なりますが、空手の修行では両方を学ぶことがあるそうです。

8種類の武器には、ヌンチャクやトンファー、サイなどがあります。

体術について

体術とは、素手または短い武器を使って戦う武術のことです。相撲から発展し、柔術にも近い武術ですが、戦闘に特化した技を主体とするため、柔術とは少し異なります。

戦場で脇差や隠し武器などを使うだけでなく、拳や指を使う打撃などのかなり特徴的な技を合わせもつ武術が体術です。

江戸時代には、犯罪者などを捕まえるための捕手(とりて)術や捕縄(ほじょう)術に発展し、様々な武道にも技術が受け継がれています。

砲術について

砲術とは、大砲や鉄砲などの火薬を使う武器を用いるための武術です。1543年に日本へ火縄銃が伝来したことがきっかけで、生まれました。

江戸時代になり、商人の高島秋帆(しゅうはん)は、火縄銃よりも西洋式の鉄砲(ゲベール銃)が圧倒的に優れていることを知り、洋式砲術を学び広げたのです。

現存する砲術は廃れていった和式砲術であり、洋式砲術は保存会があるのみで、武術としての伝承はありません。

その他の武術

その他には、忍者などが使ったとされる手裏剣術、馬に乗って弓を操る弓馬術、鎖鎌術などの武術があります。

アクション映画や歴史ドラマに出てくるような、手裏剣や鎖鎌などを使う武術がまだ伝承されていることには新鮮な驚きがありますね。

このように現代武道とは異なり、マイナーとなってしまった様々な特徴的な武術ですが、細々でも確実に伝承されているのは武道経験者には嬉しいことです。

古武道と現代武道の違い

現代武道

上記で紹介したように、古武道とは古武術や武芸のことであり、古くから日本で使われてきた武道です。

スポーツや競技ではなく、命を懸けた戦いで生き残るために発展してきたため、武道というよりは、武術としての意味合いが強く、ここが現代武道とは大きく異なります。

また、現代武道は、武術の技術に加え、武士道に通じる精神的な修行も含めた武道として、明治以降に武術を再編したものです。

そのため、競技性やスポーツ性も加味されており、命のやり取りはなくなりました。

ただし、現代武道はスポーツとは異なり、自己成長や相手を思いやる心などを育てるため、人格形成や心身を鍛えるには、最適だといえます。

現代武道については、関連コラム「日本の武道の種類はいくつある?それぞれの特徴や歴史などを解説!」をご覧ください。

古武道を始めよう

現在、伝承されている古武道では、命のやり取りではなく、その技術を後世に残そうと伝承者が武術を伝えています。

そのため、古武道であっても、修行に対する心構えや礼儀作法をしっかりと学ぶことが可能です。

特に、居合術では空気を読む力、すなわち集中力を鍛えることができます。

また、古武道の身体の動きは、普段使わない筋肉を使うものが多く、体力維持や介護などで人を起こしたり、運んだりする時にも役立ちます。

古武道に興味がわきましたら、ぜひ武道・道場ナビで近くの道場を探してみましょう。

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